スギCLTの木目を生かして難燃化を実現する準不燃材料、竹中工務店:木造/木質化
竹中工務店など4社は共同で、スギ由来の木質パネル「CLT」に透明度と耐久性に優れた難燃化塗料を塗布した内装向け準不燃材料を開発した。既に準不燃材料の国土交通大臣認定を取得し、従来の塗料では難しかった木目を長期間きれいに見せることが可能になり、天井や壁の仕上げに使える。
竹中工務店、カシュー、長瀬産業、ナガセケミカルは、スギのCLT(Cross Laminated Timber)に透明度と耐久性に優れた難燃化塗料を塗布した内装向けの準不燃材料を開発し、準不燃材料の国土交通大臣認定を取得したと2025年1月15日に公表した。認定取得により、建築基準法の内装制限を受ける室内の天井や壁で、スギCLT表面の木目が見える温かみのあるデザイン性の高い空間が実現する。
内装制限を受ける室内の天井や壁に透明で木目の現わしが可能に
可燃物の木材を内装材として壁や天井に使う場合、建築基準法の内装制限に適合させなければならない。その方法の一つに、木材表面への難燃化塗料の塗装があるが、従来の塗料に含まれる無機系難燃剤は透明性が低下し、木目を長期間きれいに見せられなかった。
今回開発した準不燃材料は、スギCLTの表面に透明度と耐久性に優れた難燃化塗料を3層にわたって塗装する。熱が加わると2層目の水ガラス系塗料が発泡し、防火性能を発揮。今回はスギCLTに塗装することで、準不燃材料の国土交通大臣認定を取得している。
塗料自体は、無機系難燃剤を含まない水ガラス系塗料を用い、従来の難燃化塗料と比べて透明性が高い。さらに木材と塗膜の追従性を高める下塗り塗料と、耐水性に優れた上塗り塗料を組み合わせ、耐久性も改善している。スギCLTに塗布すると、高い透明性と耐久性を有しながら、難燃性も兼ね備える準不燃材料となる。準不燃材料にするための塗装は、工場だけではなく建設現場でも施工できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
木造/木質化:新橋に10階建ての木造化オフィスビル開発、2026年2月竣工 中央日本土地建物
中央日本土地建物は、東京都港区西新橋一丁目に木造オフィスビル「(仮称)西新橋一丁目プロジェクト」を建設する。天井や柱などの木質化により、CO2を約79トン固定化できる見込みだ。2026年2月の竣工予定で、設計/監理、施工は竹中工務店が担う。木造/木質化:中高層木造建築構法「P&UA構法」による11階建て事務所モデルプランで構造評定取得
東急建設、戸田建設、西松建設などが参画する「P&UA構法共同技術開発グループ」は、P&UA構法を用いた二方向ラーメン架構に耐力壁を併用した11階建て事務所のモデルプランで、日本建築センターの構造評定を取得した。木造/木質化:CLT活用、大規模/高層建物に適用できる耐震壁技術を開発 竹中工務店
竹中工務店は、CLTと鋼板を組み合わせて高い耐震性能を発揮し、大規模/高層建物にも適用できる耐震壁技術「KiPLUS WAVY」を開発した。2024年10月に兵庫県神戸市で着工した「神戸学院大学 有瀬キャンパス1号館計画」で採用を予定している。木造/木質化:木造3階建てのオフィスや研究棟を整備、ポラスが埼玉に木造拠点 2025年3月竣工
ポラスグループは、埼玉県の「吉川美南」駅周辺に、木造建築の魅力を発信する情報拠点の建設を進めている。木造3階建てのオフィス棟と研究棟、木造1階建ての実験棟などを整備する。脱炭素:CLT使用量を2028年までに8倍へ、大東建託が住宅の脱炭素促進 新商品開発や大工教育も
大東建託は、2028年までにCLT使用量を現在の8倍に増やす。今後は利用拡大に向けた新商品や新仕様の開発に加え、安定した施工体制を構築するための大工教育なども実施する。BIM:スーゼネ5社とブリヂストン、オイレス工業が「免震装置」のBIMモデル共通化 構造設計でなぜ標準化が必要か?
BIMソフトウェアRevitの大手ゼネコン5社によるユーザー会「BIM Summit」内の構造分科会は、BIMの構造設計で使う「免震装置」のファミリ(BIMの部品)の仕様を共通化した。データ整備には免震装置メーカーのブリヂストンとオイレス工業も参加し、親と子の“入れ子”の構成で、装置選定の設計検討が型番の入れ替えだけで可能になる。