新橋に10階建ての木造化オフィスビル開発、2026年2月竣工 中央日本土地建物:木造/木質化
中央日本土地建物は、東京都港区西新橋一丁目に木造オフィスビル「(仮称)西新橋一丁目プロジェクト」を建設する。天井や柱などの木質化により、CO2を約79トン固定化できる見込みだ。2026年2月の竣工予定で、設計/監理、施工は竹中工務店が担う。
中央日本土地建物は2024年7月15日、東京都港区西新橋一丁目で木造化/木質化オフィスビル「(仮称)西新橋一丁目プロジェクト」を着工した。天井や柱などの木質化により、CO2を約79トン固定化できる見込みだ。設計/監理、施工は竹中工務店が担う。2026年2月の竣工を予定している。
建物はS造/木造の地上10階建てで、延べ床面積は2623.35平方メートル。プロジェクトで使用する木材の量は118立法メートルを予定しており、産地認証を取得した木材など、森林の持続可能性に配慮された国産木材を使用する。
竹中工務店が開発した木造技術を導入
今回のプロジェクトは、中央日本土地建物グループが手掛ける中規模オフィスシリーズ「REVZO(レブゾ)」の第5弾。シリーズ共通の機能やデザインをベースに、建物の柱や天井、内外装などに木材を使用し、木の柔らかさや温かみが実感できるオフィスビルを目指している。
天井には、竹中工務店と日鉄建材が共同開発したCLT(直交集成板)とデッキ合成スラブを組み合わせた技術「KiPLUS DECK(キプラスデッキ)」を国内で初めて導入する(竣工時点)。執務室の柱の一部には、竹中工務店が大臣認定を取得した耐火/木造技術「燃エンウッド」を採用し、耐火性能を確保した「燃え代層」の木材部分を現しとすることで、直接木材に触れられるようにした。
また、中央日本土地建物グループが所有する山中湖の山林に自生するカラマツを耐火集成材に加工し、一部の柱の構造体(荷重支持部)として活用する他、仕上材や家具の一部にも保有林の木材の活用を検討する。なお、今回の取り組みは、東京都農林水産振興財団の「中・大規模建築物の木造木質化支援事業」「木の街並み創出事業」に採択された。
中央日本土地建物グループでの木材利用の取り組み
中央日本土地建物グループでは、神奈川県平塚市の吉沢(きさわ)地区に約85ヘクタール、山梨県南都留郡山中湖村に約18ヘクタールの森林を所有する。また、平塚市吉沢地区では、里山や生物多様性の保全に向けた取り組みを継続し、環境省の「自然共生サイト」制度に認定された。
この他、グループが運営するワークプレイスのR&D拠点「NAKANIWA」では保有林の間伐材を建材や家具に活用し、2025年竣工予定のオフィスビル「(仮称)博多駅前三丁目プロジェクト」でも木材を積極的に活用している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 木造化:サンケイビル初の「木造オフィスビル」が秋葉原に誕生 熊谷組と住友林業が施工
熊谷組と住友林業は、サンケイビル初となる木造と鉄骨造のハイブリッド建築「(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」を施工する。2025年1月中旬に着工し、2026年3月下旬の竣工を予定している。 - 木造化/木質化:「木」でつくる住友林業の事業用建築ブランド「The Forest Barque」 目標は年間30億円
住友林業は、木造の事業用建築ブランド「The Forest Barque」を展開する。木質梁勝ちラーメン構法を用いた独自の「ビッグフレーム構法」を使用し、年間30億円の売上を目標に事務所や店舗、診療所へ提案していく。 - 木造/木質化:一般建物の構造材木質化技術を実用化、日建設計が建設時CO2排出量1割削減へ
日建設計は、建築物の床や壁面などにおける構造材木質化技術を実用化した。新技術による木材活用により、建設時のCO2排出量を約10%削減できる見込み。 - 産業動向:非木造の15兆円超市場へ“木造化”で参入 SDGsの木造建築会社へ、AQ Group
AQ Groupは、「普及型純木造ビル」で日本の街並みに木造建築物を復興する「Re:Treeプロジェクト」を始動する。国内で普及している木材や構法を用い、5階建て以下の木造ビルや木造マンション、木造商業ビルを展開し、SDGsを標ぼうする木造建築会社を目指す。 - プロジェクト:国内最大の木造賃貸オフィスビルを着工、三井不動産と竹中工務店
三井不動産と竹中工務店は、国内最大、最高層となる木造賃貸オフィスビルを着工した。地上18階建て、高さは84メートル。延べ床面積は約2万8000平方メートル。竣工は2026年を予定している。 - 第8回 JAPAN BUILD TOKYO:AR技術でZEBの効果を可視化する「建築模型AR」を東急建設が開発
東急建設とARスタートアップのOnePlanetは、建築模型とAR技術を組み合わせてZEBの内部構造や全体像を可視化する「建築模型AR」を初公開した。