日本政府パビリオン「日本館」を見学! 佐藤オオキ氏と日建設計が循環社会の未来を具現化:大阪・関西万博(1/4 ページ)
日本政府が大阪・関西万博で出展するパビリオン「日本館」は、「日本型循環社会」をテーマに総合プロデュースを建築家の佐藤オオキ氏が担当し、基本設計と実施設計を日建設計が手掛け、円環状の構造体で“いのちのリレー”を表現した。外観の特徴は、円を描くように立ち並ぶ無数の「木の板」。主にCLTから成る板は、万博終了後に日本各地でリユースされる予定で、循環のコンセプトを象徴する存在だ。
2025年4月に開幕する「大阪・関西万博」で、日本政府が出展する「日本館」の内覧会が2025年1月26日に開催された。日本館は「日本型循環社会」をテーマに設計し、建築から展示内容に至るまで循環型社会のビジョンを体現している。
日本館は2階建て敷地面積約1.3万m2で万博最大規模
主催者の経済産業省 大臣官房審議官(国際博覧会担当) 浦上健一朗氏は、内覧会冒頭で「会期中は、世界中の160を超える国や地域、国際機関からさまざまな要人が来場する。その時に必ずホスト国のパビリオンを訪れるので、おもてなしの拠点として日本らしさを発信する場所になれば」とあいさつ。
次に日本政府館長の黒田紀幸氏が日本館の概要とコンセプトを説明した。日本館は直径80メートル、高さ13メートルの円環状で、地上2階建て。敷地面積は約1万3000平方メートルと、万博最大規模を誇る。中央部分には吹き抜けと水盤を配置し、開放的で自然との一体感を感じられる空間を生み出す。建物の構造材で使用されている国産杉のCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)とガラスの組み合わせは、内部と外部のつながりを象徴している。
日本館のデザインを手掛けたのは、同館総合プロデューサーの佐藤オオキ氏。佐藤氏は、東京2020オリンピックの聖火リレー用トーチをデザインした実績など、多様なデザイン分野で高く評価されている建築家だ。日本館では、伝統的な日本の美意識と最先端の技術を融合させることで、循環社会のコンセプトを視覚的に体現している。
建物に使用している28組560枚のCLTは、万博終了後に再利用する計画で、その点でも持続可能な社会へのメッセージを強く発信していく。
建物の内装工事は2025年2月下旬までに完成する。総事業費は建設費143億円(内装費込み)を含む総額360億円とされており、解体費は未定だが、全体の予算内に収まる計画となっている。
日本館のコンセプトは「いのちと、いのちの、あいだに」。人間、自然、動植物といった全ての命がつながり合う“循環”を象徴し、展示内容や建築設計に一貫して反映されている。
館内は「プラントエリア」「ファームエリア」「ファクトリーエリア」の3つに分かれ、バイオガスプラントによるエネルギー循環、最新のバイオ技術、伝統と最先端を融合したものづくりを通じて、来場者が地球環境へのアクションを考える機会を提供する。
本稿では、内覧会で公開された「プラントエリア」「ファームエリア」、そして目玉展示の「火星の石」についてレポートする。
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