Autodeskが建設業界の課題を徹底分析! コスト、人材、サステナビリティの視点と全体最適化が急務:建設業界でAI活用の可能性は?(4/4 ページ)
オートデスクは建設業界のさまざまな企業課題を分析し、未来への道筋を示す大規模調査「デザインと創造の業界動向調査2024」を公表した。調査レポートの説明会では、海外企業と日本国内企業の双方の視点から企業経営にまつわる課題を整理し、具体的な解決策となるAutodeskの最新技術を紹介した。特にビジネスレジリエンス向上で必要となるコスト、人材、サステナビリティの3要素に焦点を当て、業界の問題点とその先の可能性を探った説明会の内容を振り返る。
サステナビリティと業務効率性の両方を高める
サステナビリティに関し、大浦氏は「建設プロジェクトで脱炭素の取り組みを強化することは、地球環境だけでなく、作業工程の無駄も省ける」と話す。
そこで有効なのが、建材メーカーと設計者とが建材製品のテンプレートを共有できるクラウドサービス「Autodesk Informed Design」だ。製造可能な建築部材のテンプレートを使用してカスタマイズした設計が可能になり、建設廃棄物の削減とともに納期短縮も見込める。さらにRevitとの連携で設計や製造の工程にもデータを使え、建物設計と建設プロセスを合理化し、工業化建築が実現する。
最新AI研究の成果をツールに取り入れ、真の効率化を実現
AutodeskのAI技術も注目に値する。さまざまなツールにAutodesk AIを搭載し、設計プロセスの強化や自動化、データ分析を支援し、作業効率を大幅に向上させる。60以上のAI関連の論文も発表し、飛躍的に発展するAI技術に対応して実用化させている。
Autodeskが目指すのは、コスト削減と効率化、持続可能な開発、そして未来を担う人材育成の実現だ。2028年夏に開催するロサンゼルスオリンピック・パラリンピック競技大会では、これまでの知見を生かした協力もするという。今後も、その動向に注目が集まることは間違いない。
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