デッキ合成スラブ適合判定業務の負担を軽減するツール開発、大和ハウス工業と日鉄建材:BIM
大和ハウス工業と日鉄建材は、設計業務を効率化する合成スラブ判定ツールを共同開発した。
大和ハウス工業は2024年11月27日、日鉄建材と共同で、デッキ合成スラブの適合判定業務を効率化する「合成スラブ判定ツール」を開発したと発表した。
デッキ合成スラブは、床鋼板(デッキプレート)とコンクリートが一体となった床構造材。今回、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」向けの拡張機能として、Revitとデッキ合成スラブの耐火/構造設計に関する適合判定システム「日鉄デッキプレート設計支援システム」の情報を連携するツールを開発した。今後は、日鉄建材が立ち上げた設計/施工業務向け合理化ブランド「e-works+(イーワークスプラス)」に追加し、「e-works+BIM」として展開する。
設計業務を効率化、手入力によるヒューマンエラーを防ぐ
建築物の床にデッキ合成スラブを用いる場合、構造面と耐火面から設計が適正だと判定するためには、構造設計者は図面からデッキ合成スラブの情報を目視で読み取り、設計システムに転記する必要がある。判定結果をBIMへ反映する際も手入力で行うため、構造設計者の負担となっていた。
今回、日鉄建材と大和ハウス工業が開発したツールは、デッキ合成スラブの仕様や設計条件などをRevitに設定できる他、デッキ合成スラブの適合判定に必要な情報をRevitから書き出し、設計システムへ読み込むことで、情報を転記する必要なく適合判定が可能になる。適合判定の結果や合否や適合する認定番号、特記事項など適合結果のRevitへの反映も容易に行える。同ツールの活用により、設計業務の効率化を図るとともに、手入力によるヒューマンエラーを減らす。
まずは、設計業務支援ツールとして展開し、今後はデッキプレートの割付など施工でも活用できるようデータ連携拡大を進め、デッキ合成スラブを使用する建物の建設プロセス全体の合理化に寄与する機能を追加していく予定だ。
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