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調査リポート

Autodeskが建設業界の課題を徹底分析! コスト、人材、サステナビリティの視点と全体最適化が急務建設業界でAI活用の可能性は?(3/4 ページ)

オートデスクは建設業界のさまざまな企業課題を分析し、未来への道筋を示す大規模調査「デザインと創造の業界動向調査2024」を公表した。調査レポートの説明会では、海外企業と日本国内企業の双方の視点から企業経営にまつわる課題を整理し、具体的な解決策となるAutodeskの最新技術を紹介した。特にビジネスレジリエンス向上で必要となるコスト、人材、サステナビリティの3要素に焦点を当て、業界の問題点とその先の可能性を探った説明会の内容を振り返る。

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 調査では他にもAI活用を取り上げ、78%の企業が「AIの活用がビジネス活性化につながる」とし、56%が「AIを既にビジネスに活用、もしくは今後活用しようと考えている」と答えるなど、ポジティブな意見が増えている。

AIへの関心は多くの業種に広がっている
AIへの関心は多くの業種に広がっている 提供:オートデスク

 ただ、AIを脅威と見做す回答者も40%ほどいた。近年盛んになっている大量の知識を学習させて、新たな回答を生み出す“生成AI”は今後2年間で高度な市場競争の優位性をもたらすとの見方もあり、今後はリスクとともに利益をもたらすことが予測されている。

 企業活動でのAI導入には注意が必要だ。どのような企業の情報を扱うかを考えるデータ基盤戦略が不可欠。自社の中でAIでどこまでやりたいかを明確化し、導入時のギャップ分析や専門部署、人材の配置、協力などの体制を整備する必要がある。

建設DXの肝は、部分最適ではなく全体最適

 Autodeskは、建設業界向けに先ほどの3つの課題に対処するソリューションを提供している。

 コストは大規模な組織ではコミュニケーションが分断されたり、データが断片化したりし、大幅な遅延や工数がかかってしまっている。そこで建設プロジェクトに携わるステークホルダー全員がクラウド上でコミュニケーションやリアルタイムのデータ共有ができる「Autodesk Construction Cloud(ACC)」を用意している。

 ACC上ではドキュメント管理ツール「Autodesk Docs」を中心に、共同設計を支援する「BIM Collaborate Pro」、現場向けに検査フォームや指摘事項などさまざまな機能を備える「Autodesk Build」、2Dや3Dの数量拾いを効率化する「Autodesk Takeoff」などを取りそろえている。部分的ではない、プロジェクト全体の効率化が実現し、作業時間の短縮とコスト削減につながる。

ACCは建設業向け統合プロットフォームで、プロジェクト全体のコミュニケーションを最適化する
ACCは建設業向け統合プロットフォームで、プロジェクト全体のコミュニケーションを最適化する 提供:オートデスク

 オートデスク 日本地域営業統括 技術営業本部 建築テクニカルソリューションエグゼクティブ 大浦誠氏は「現在の建設企業では部分的なソリューションが導入されて効果を上げているが、“全体最適”が難しい状況に陥っているのではないか」と語る。そのうえでACC上では、多様なツールを組み合わせて用いることができるので、関係者間のコミュニケーションや生産性向上が期待できると強調する。

人材不足の解決には、効率的なトレーニングツールを提供

 オートデスクは人材育成に対しても、ソリューションも提供している。そもそも、動向調査では従業員のスキルアップに関し、「重要である」が66%を占めた。ただ、自社にはトレーニングプログラムを開発するスキルやリソースがないが37%となり、人材育成に関してノウハウを持っていない企業も多い。

企業にとって従業員のスキルアップは不可欠と考えているが、ノウハウなどの課題がある
企業にとって従業員のスキルアップは不可欠と考えているが、ノウハウなどの課題がある 提供:オートデスク

 オートデスクでは機械学習を活用して、ユーザーのAutoCADやBIMソフトウェア「Revit」の使用状況を分析し、スキル習熟を支援している。一例として、社員のコマンド入力の癖を解析し、他にも便利なコマンドがあるなどの通知機能を実装し、スキルアップにつなげている。

 最近では、学生のスキルアップサポートにも乗り出している。2024年5月には、オートデスクと東京工科大学や日本工学院専門学校などを運営する片柳学園が、設計・製造分野の未来を担う人材の育成に向けて基本合意書(MOU)を締結。AI設計機能の「ジェネレーティブデザイン」を含むBIM人材の育成をはじめ、教員向けにAutodesk Fusionトレーニング、最新の設計・製造技術に関する授業やカリキュラム開発などに取り組んでいる。

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