半屋外で快適に過ごせる超局所冷暖房「Comfy TOUCH」を開発、消費電力は従来型の約1割:製品動向
大林組とピーエスは、冷温水パネルの熱伝導と輻射熱で家具や床に冷涼感や温もりをもたらす、超局所冷暖房システムを開発した。消費電力は従来型空調と比べて約1割に削減できる。
大林組は2024年12月16日、ピーエスと共同で、半屋外空間向けの接触型超局所冷暖房システム「Comfy TOUCH(コンフィタッチ)」を開発したと発表した。冷温水パネルの熱伝導と輻射熱を利用し、従来型空調の約1割の消費電力で家具や床に冷涼感や温もりをもたらす。
半屋外空間に寒暖をプラス、長時間滞在が可能に
商業施設のテラスやガレリアのような半屋外空間で、夏や冬に快適な温熱環境を保つには、冷暖房設備の稼働に多くのエネルギーを要する。また、冷房には屋外型ヒートポンプエアコン、暖房には遠赤外線電気ヒーターなどを使用し、1台の機器では冷暖房を兼用できないなどの課題があった。
Comfy TOUCHは、ベンチなどの家具や床に取り付けた冷温水パネルに約30度に調節された水を流すことで、熱伝導と輻射熱により冷涼感や温もりを与える。接触や近接により効果が得られる。
半屋外空間で使用される従来型空調に比べて局所性が高く、エネルギー効率が良いことから、ランニングコストを抑制できる。従来型空調1基とComfy TOUCH適用ベンチ2基の消費電力を比較した場合、冷房で約89%削減、暖房で約93%削減効果が得られる。パネルに流れる水は中温度帯のため、井戸水や地下水などの自然エネルギーで賄え、より省エネルギー性能の高い運用が見込める。
冷温水パネルは鋼製。パネル以外の部分に木材などの異素材を使用したり、デザインの工夫で見た目の印象を変えたりできる。パネルと家具/床一体型のモジュールとして製作することで、寝転んだりもたれたりと、さまざまな姿勢で長時間くつろげる。
一般的に、商業施設の滞在時間と売上高は比例関係にあるとされている。Comfy TOUCHの導入により施設内のさまざまな場所で長時間滞在を可能にし、施設全体のポテンシャルを引き出すことにつながるとしている。
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