不良在庫の建材を専用フリマで収益化 北九州の物流会社が新サービス:建設サプライチェーン
福岡県北九州市で創業し、82年の歴史を持つ八幡陸運は、2024年8月から「建材・資材シェアリングサービス」の提供を開始している。建設会社の倉庫に眠る建材をサイトに出品し、格安の資材を必要とする建設業や個人が購入することで、新たな収益に変える新時代のフリマサービスと位置付けている。
福岡県北九州市で創業し、82年の歴史を持つ八幡陸運は、2024年8月から「建材・資材シェアリングサービス」の提供を開始している。建設会社の倉庫に眠る建材をサイトに出品し、格安の資材を必要とする建設業や個人が購入することで、新たな収益に変える新時代のフリマサービスと位置付けている。
流通プラットフォーム、出品代行サポート、知的財産講座、経営改善講座を提供
納期遅延を嫌いあらかじめ多く材料を発注することの多い建設業界では、計画変更やプロジェクト中断などのさまざまな理由で不要な建材が不良在庫となり、企業の資金を圧迫する事態が増えている。また、物流業界ではドライバー不足が深刻化し、低価格運賃競争が加速する中、労働環境の悪化が問題視されている。
こうした問題を解消する建材・資材シェアリングサービスは、不良在庫の流通プラットフォーム、出品代行サポート、知的財産講座、建設会社経営改善講座の4つのサービスから成る。
不良在庫の流通プラットフォームは、不要になった建材や資材を他の企業や個人が低価格で購入できるプラットフォームを提供する。建設会社は在庫管理のコスト削減が可能となり、物流業界も効率的な輸送が実現する。
出品代行サポートは、ITに不慣れな建設関係者や高齢者向けに、商品撮影や説明文の作成を代行。誰でも簡単に不良在庫を出品し、迅速に資材の再流通が行える。
知的財産講座は、DIY作家やアーティスト向けに、建材を利用した創作活動での知的財産権保護を支援する講座を提供。権利侵害のリスクを軽減し、ビジネス展開をサポートする。
建設会社経営改善講座は、不良在庫を滞留させることなく、資産として活用する経営戦略を学べる講座を開設。企業は在庫管理と経営力を強化し、持続可能な成長を実現できる。
サービスは、建設会社が余剰在庫を効率的に減らし、経営の安定化を図るだけでなく、物流業界にも新たな収益源を提供することにつながる。特に、ドライバー不足の問題に直面する物流業界にとっては、専門スタッフによる有料の価格設定や運送手配の代行により、運賃を見直しつつ、取次業務を通じてドライバーへの過度な負担が軽減する。
対象は全国で、物流会社ならではの全国の物流ネットワークを使って、大きい資材や重い資材でも配送対応する。料金プランは、会員登録や資材登録を含めて基本料金は無料で、配送料は購入者負担で別途見積もり。出張撮影、資材査定、在庫確認、在庫リスト作成はオプションで対応する。申し込み方法は、問い合わせフォームに入力後、オンライン面談を経て契約し、最短1週間で利用できる。
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