東急建設が駅工事のデジタルツインにMatterport活用 時間軸を加えた「4D-CIM」の施工検討も:デジタルツイン(2/2 ページ)
東急建設は、マーターポートが提供するMatterportのデジタルツインソリューションを導入し、鉄道工事やインフラ建設の入札プレゼンから、設計、施工までのプロセス横断で有効活用している。図面のない現況調査や施工の出来形管理を現場のデジタルツイン化で効率化した他、未来の時間軸も加えた4Dシミュレーションによるフロントローディングも模索している。
データ取得の速さでも一般的なレーザースキャナーに比べると、Matterportに優位性がある。通常はレーザースキャナーだと1カ所で2〜3分かかるが、Matterport Pro3は基準点となるマーカーの設置も要らず、1カ所が18秒で完了。京急東神奈川駅のスキャン作業は2時間ほどで完了したという。
設計初期から施工まで活用できるMatterportのデジタルツイン
今では施工段階でもMatterportを活用しており、施工段階のクレーンなどの重機搬入で、動線上にある既存構造物との距離や可動域の確認に使っている。新しい使い方では点群データと3Dモデルを統合したデジタルツインに、時間軸(4D)を取り入れた「4D-CIM」の施工シミュレーションで、工法の妥当性や施工手順チェック、関係者の合意形成などの施工計画を検討している。「設計フェーズではミリ単位の高精度が必要になることが多いが、スキャンに時間を掛ける時間的余裕もある。しかし、施工フェーズは時間との勝負。施工現場の狭隘(きょうあい)なスペースで、重機が作業できるかといった確認では迅速にスキャンできるMatterport Pro3が適している。適材適所で使い分けることがポイント」(池田氏)。
今後の活用方針について池田氏は、「今は点群データを取りだし3Dモデルと統合しているが、3Dのモデルをクラウドへ格納し、座標の情報を合わせて画像と統合して表現する方法をMatterportで実現したい。クレーンなどの重機の3Dオブジェクトをデジタルツインにインポートすることで、Webブラウザ上で干渉チェックなどのシミュレーションが可能になる」と説明する。
さらに「Matterportのデジタルツインは施工現場の過去と現在を記録するだけでなく、計画3Dモデルと統合することで未来の可視化にも使えるソリューションだ。これがまさにフロントローディングであり、もはや私たちにとって手放せないツールとなった。Matterportのソリューションは業務効率を向上し、DXの価値を最大限に高めてくれるものとして、あらゆる現場で積極的に取り入れていく」と展望を語る。
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