1日掛かりの現況調査が2時間に 鳥取県の地場ゼネコン「美保テクノス」がMatterport導入:BIM(1/2 ページ)
地場ゼネコンの美保テクノスが、点群データのBIM利用や現況撮影/測量業務の工数削減を目的に、デジタルツインを3DスキャンMatterportを採用した。地上型レーザースキャナーよりもコスト効率や機動性に優れ、BIMモデルの基礎となる3Dデータ取得の内製化も実現した。
米国カリフォルニア州サニーベールに本社を置く「Matterport」の日本法人マーターポートは、鳥取県米子市の地場ゼネコン「美保テクノス」が現場をデジタルツイン化するカメラとクラウドサービスが一体となったMatterportのソリューションを導入した。
美保テクノスは、社内にBIM戦略部を設置してBIM活用を進めており、Matterport導入後は改修案件のほぼ全てで活用している。3Dスキャニングカメラの「Matterport Pro2/Pro3」で取得した点群データをBIMモデル作成に用いている他、現況調査でもMatterportのソリューションで、撮り漏れのない写真記録や測量/寸法測定を行っている。
旅館と小学校校舎をデジタルツイン化 卒業生の思い出作りにも活用
Matterportのソリューションは、LiDAR搭載など豊富な3Dスキャニングカメラのラインアップと3Dモデル生成などのソフトウェアから、用途に応じて選んで使うことで、建築物の屋内外をデジタルツイン化できるサービス。
美保テクノスは、鳥取県で売上規模1位の地場ゼネコン。県内で他に先駆けBIMに注目し、2018年にはBIM戦略部を発足し、設計・施工のBIM活用を検討してきた。既に、BIMによる情報マネジメントの在り方を示す、国際規格「ISO 19650」も取得している。
Matterportを採用してからは、旅館内装改修工事や小学校旧校舎の3Dモデルを作成した。旅館内装改修工事では、部分的な改装(約160平方メートル)の際、構造図は残っていたが意匠図がなかったため、改修範囲をPro2で撮影。従来の手作業での測量では、1日を要していたが、2時間ほどで完了した。
Pro2で取得した点群データは、Revitで読み込んだ後、バーチャルに歩き回れるMatterportの「3Dウォークスルー」で、鮮明な写真画像を参照しながらモデリングして、約3日で3Dデータを作成した。撮影データは、施工前や施工後の比較イメージとして施主への提案にも役立てた。
米子市立 啓成小学校 旧校舎の案件では、解体工事を請け負った小学校校舎の内部全体をデジタルツイン化。当初は、現況記録や解体作業時の足場配置を検討するための撮影だったが、卒業生の思い出をデジタル技術で保存することも可能と判断し、3Dデータを米子市へ寄贈した。Matterportの3Dウォークスルーは、ページ切り替えのような暗転の瞬間がなく、卒業生からは「当時の記憶通りに校内を歩けてうれしい」と喜びの声が寄せられたという。
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