変電所屋外設備の保守にARを活用する検証を実施、プレミアムアーツら:AR
プレミアムアーツ、マーターポート、PTCジャパンの3社は、中部電力とともに、拡張現実や空間データプラットフォームを活用し、屋外での設備操作に対する安全と信頼性の確保に向けた検証を行った。
プレミアムアーツ、マーターポート、PTCジャパンの3社は、中部電力とともに、拡張現実(AR)や空間データプラットフォームを活用し、屋外での設備操作に対する安全と信頼性の確保に向けた検証を行ったことを2022年10月25日に発表した。
デジタルツインの環境を提供するソリューションを開発
国内では昨今、人口減少に伴い労働力の減少や高齢化の影響で、デジタルソリューションを用いた技術の継承方法が関心を集めている。電力業界でも、発電所や変電所などに設置された電力設備の操作が効果的に行えるデジタル技術が注目されている。
そこで、プレミアムアーツとPTCは2021年6月に、中部電力の送配電事業会社である中部電力パワーグリッドの変電所で、PTCが保有するARの技術とマーターポートの空間データを活用し、屋内における電力設備の操作支援に関する検証を実施した。
検証では、ARの表示精度や設備間の移動に対する操作者誘導機能を確かめた。その結果、屋内でARを活用した操作支援が、電力設備の操作に対する安全と信頼性の確保に貢献する可能性があることが分かった。
屋内での検証時には、プレミアムアーツは、「Matterport Pro2 3D カメラ」で撮影された屋内の空間データや空間コンピューティング技術とPTCのARソリューションを使用して、デジタルツインの環境を提供するソリューションを開発した。こういったソリューションにより、操作者を確実に対象へ誘導するルートや対象のスイッチ位置をARでデバイス画面に表示する。
今回、プレミアムアーツ、マーターポート、PTCの3社は、屋内での検証結果を踏まえて、変電所屋外での操作支援を対象にARの表示精度を確認する検証を実施した。
検証では、マーターポートのデジタルツインプラットフォームとPTCの空間コンピューティング技術「Vuforia Engine Area Targets」をベースに、連続的な補正技術と正確な3D映像の認識技術を活用することで、変電所屋外における一部空間のデジタルツイン構築と高精度なAR表示が可能となることを確かめた。
また、プレミアムアーツでは、PTCの空間コンピューティング技術を使うことで、昼夜の違いによる明暗や天候、日照などの影響を最小限におさえられるARソリューションを開発した。3社の技術によって、変電所屋外における設備の場所や操作手順を屋内同様のAR品質でタブレットに表示することで、屋内外を問わない電力設備の操作支援拡充を目指す。
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