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溶接不要のプラットフォーム耐震補強工事、高崎駅では工期8割短縮 JR東日本が2つの新工法開発:新工法
JR東日本は、東鉄工業、センクシアと共同で、プラットホーム上家の耐震補強工事で溶接が不要となる2つの新工法を開発した。
JR東日本は2024年10月8日、東鉄工業、センクシアと共同で、プラットホーム上家の耐震補強工事で溶接が不要になる新工法「スマートウィクシス工法」(SW工法)と「スマートボクシス工法」(SB工法)を開発したと発表した。
新工法のうち、SW工法はJR東日本の上越新幹線「高崎」駅、総武線「平井」駅他6駅、JR西日本の山陽新幹線「西明石」駅、SB工法はJR東日本武蔵野線「西船橋」駅の耐震補強工事に適用。SW工法を活用した高崎駅では、溶接で接合する従来工法と比べて、約80%の工期短縮と約30%の工事費削減を実現した。JR東日本では新工法を、他の鉄道事業者も活用できる技術として水平展開を図る。
接合に高力ボルト使用、既存塗装の除去が不要に
JR東日本では、首都直下地震の想定震度が上昇したエリアの発生や新たな活断層の顕在化などを踏まえ、大地震発生時の揺れ抑制や崩壊防止を目的としたプラットホーム上家の耐震補強工事を、2017年度から約320の駅を対象に実施している。
今回開発したSW工法は、H形鋼柱が変形しやすい方向(下図X方向)に斜めの補強部材を無溶接で接合。また、SB工法は、H形鋼柱が変形しやすい方向と変形しにくい方向(下図Y方向)の両方向に、同じ高さの位置で斜めの補強部材を無溶接で接合する。いずれも接合には高力(こうりき/こうりょく)ボルトを使用し、これまで現場溶接する際に行っていた、既存塗装の除去や火花養生などの作業が不要になる。
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