建設業の2024年問題、「未対策」が7割超 社員100人以下の工事会社で
クラフトバンク総研は、社員数100人以下の建設工事会社を対象とした「建設業の2024年問題と人手不足に関する動向調査」の結果を発表し、時間外労働の上限規制に対して、7割以上が「未対策」の状況にあることが分かった。
クラフトバンク総研は2024年10月3日、社員数100人以下の建設工事会社を対象とした「建設業の2024年問題と人手不足に関する動向調査」の結果を発表し、時間外労働の上限規制に対して、7割以上が「未対策」の状況にあることが分かった。
勤怠管理では85%、日程/工程管理は56%がアナログ管理を行っており、原価管理ツールの利用率は23%にとどまった。また、経営者の約半数が、毎日2時間以上事務作業を行っている実態が明らかになった。
「2024年問題を知らない」と回答したのは全体の24%で、特に職人と事務員では、それぞれ31%を占めていた。この他、経営者が2024年問題に取り組んでいる企業の方が、未対策の企業よりも事業拡大している割合が高いことも判明した(対策中/完了で41%、未対策で32%)。2024年問題への対策が進んでいない割合は、従業員数が少ない企業ほど高い傾向にあり、社員数5〜10人の企業では82%に達していた。
人手不足で「仕事を断ることある」全体の7割に
全体の69%が「人手不足で仕事を断ることがある」(頻繁にある13%、たまにある56%)と回答。従業員数による傾向の差は見られず、会社規模を問わず人手不足が事業成長のボトルネックとなっていることが判明した。
人手不足の要因(複数回答)については、新卒採用(409人)や中途採用(408人)よりも、育成が追い付いていない(495人)ことや離職の多さ(419人)ことが大きな課題として認識されていた。育成/定着の強化に向けては、賃上げ(504人)や手当の見直し(298人)といった賃金の向上施策が、休暇の増加(256人)などの働き方改革を上回った。一方で、何もしていない/不明との回答も652件あった。
クラフトバンク総研は、2024年4月から始まった時間外労働の上限規制の厳格化や人手不足への対応実態を把握するため、2024年7月24日から8月2日にかけて調査を実施した。社員数5〜100人の法人で、正社員に占める職人数が全体の半数以上、もしくは職人が10人以上在籍する建設工事会社が対象。有効回答数は1488件(経営者463人、職人514人、事務員511人)で、対応工事は住宅が34%、非住宅が23%、土木が44%だった。
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