福岡の全屋台に「営業中かLINEで分かる」IoT電球を導入 建設現場の就業合図にも:導入事例
福岡市が進める屋台をデジタル化する「屋台DX」の一環で、IoT電球「Hello Light」を市内の全屋台に導入した。各店舗に吊り下げた裸電球の点灯を自動検知し、屋台街のLINEアカウントに営業中かどうかを表示する。Hello Lightは今後、設置工事が要らずスイッチを押して点灯するだけで情報が伝達される簡便さから、建設現場での就業開始の合図などへの活用も見込まれている。
ハローテクノロジーズと東京センチュリーは2024年7月、福岡市博多の名物で観光資源にもなっている“屋台文化”にデジタル技術を採り入れる「屋台DX」のプロジェクトで、IoT電球「Hello Light(ハローライト)」が市内の全屋台に導入されたと発表した。
裸電球に基地局と通信するSIMを内蔵したIoT電球「Hello Light」
Hello Lightは、SIMを備えたLEDで、Wi-Fiなどのネットワーク環境なしで点灯を自動検知する。コンセントや工事は不要で、遠隔地から電子メールなどを介して点灯状況がリアルタイムで分かる。ハローテクノロジーズがソラコム協力のもと開発した特許製品で、東京センチュリーがサブスクリプションサービスとして展開している。サブスクリプション使用料は月額2475円(税込み、3個分)。これまでは高齢者向けの見守りサービスとして、自治体や不動産業者、介護事業者を中心に2024年5月時点で約4万個が採用されている。
今後は人手不足が深刻な建設/不動産の業界で、現場スタッフの就業開始の合図など、見守りの用途から拡大することが期待されている。ハローテクノロジーズでは、専用デバイスや煩雑な操作を必要とせず、スイッチを押して点灯するだけで情報が伝達されるため、多忙な職場でのコミュニケーションの効率化や労務時間の適正管理にも役立つとしている。
今回の屋台への導入では、屋台に取り付けたHello Lightの点灯をシステムが自動検知し、現在営業しているかどうかを福岡屋台のLINEアカウント「FUKUOKA GUIDE」に表示する。営業(出店)が天候に左右され、「行きたい屋台が今日営業しているかどうかが、現地に行ってみないと分からない」という屋台特有の不便さ解消につながる。IoT電球のデータは他サービスでの活用も見据え、「福岡市データ連携基盤」をベースとした仕組みとなっている。
LINEアカウントのFUKUOKA GUIDEは、市が屋台基本条例制定10年と、同じく設立10周年のLINE ヤフーコミュニケーションズとの共働プロジェクトとしてスタート。LINE上には、長浜屋台街の営業状況や各屋台のメニューなどが掲載されている。
また、屋台DXでは生成AI「ChatGPT」を活用し、「屋台常連の“AIおいちゃん”」とのやりとりで、おすすめの1軒を選べる機能も実装。「同じ趣味の店主と話したい!」など屋台ならではの質問も対話形式でAIが答える。
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