2024年問題対策で建設現場の遠隔モニタリングシステム提供、古野電気:勤怠管理
古野電気は、建設現場の人やモノの位置情報をはじめ、人流、勤怠情報、温度、湿度、作業員の心拍数など多種多様なデータを1つの画面でモニタリングできるシステムを開発した。これまで目視で行っていた現場確認の自動化と、移動時間の短縮が可能となり、2024年問題対策としての需要が見込まれる。
古野電気は2024年7月19日、建設現場向けリモートモニタリングシステムの提供を開始した。人やモノの位置や入退場、勤怠などのデータを現場に設置するセンサーで取得し、遠隔からリアルタイムでモニタリングできる。
機器の導入やサービスの利用も容易で、現場負担が少ない
建設業界では、「2024年問題」など時間外労働時間の規制が2024年4月に始まり、現場の働き方改革が求められていた。これまで、建設現場のさまざまなデータは目視確認で収集されることが多く、確認業務の他、現場内外での移動に多くの時間を要していた。
古野電気の新システムは、建設現場の多種多様なデータを1つの画面でモニタリング。現場確認の自動化と移動時間の短縮が実現し、働き方の改善にもつながると期待されている。
製品構成は、データを収集するBLE(Bluetooth Low Energy)の通信規格に対応したIoTセンサーと、クラウドへデータをアップロードするゲートウェイ、クラウド、専用アプリから成る。ゲートウェイは、屋内の建築現場に適する天井照明と一体型になった「BG-100」と、土木現場に最適な屋外対応型ゲートウェイ「BG-200」の2種類から選べる。BG-100は、天井の電源に差すだけで動作し、Webアプリで個々の照明のON/OFFも切り替えられる。BG-200は、IP65 の防水防塵(ぼうじん)仕様で、動作温度は−20〜50℃。
取得するデータは、作業員や機材などの位置情報、人流、入退・勤怠情報、環境温度・WBGT値(暑さ指数)、作業員の健康状態など。利用シーンは建築現場(高層ビル、地下階)、土木現場(トンネル坑内、鉄道/地下鉄)、倉庫(大規模倉庫/工場、プラント/発電所)などを想定している。
取得したデータは、WebAPIを用いた他社システムとの連携に加え、ExcelやTableauなどのBIツールによるデータ分析にも対応する。過去ログもCSV形式で出力でき、現場の安全性向上、現場管理の効率化や省人化のための振り返り分析にも役立つ。
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