マシンガイダンスに3D地質/土質モデルを組み合わせた新システム「Geo-MG」開発 熊谷組:製品動向
熊谷組は、マシンガイダンスシステムに3Dの地質/土質モデルを組み込み、地質の状態に応じて正確に地山掘削ができるシステム「Geo-MG」を開発した。熊本県発注の「大切畑地区県営農地等災害復旧事業第1号」に適用し、掘削効率を平均15%程度向上した。
熊谷組は2024年8月28日、マシンガイダンスシステムに3Dの地質/土質モデルを組み込み、地質の状態に応じて正確に地山掘削ができるシステム「Geo-MG(ジオマシンガイダンス)」を開発したと発表した。地質境界へ重機を誘導し、正確かつ合理的な掘削作業が可能になる。
熊谷組は熊本県発注の「大切畑地区県営農地等災害復旧事業第1号(大切畑ダム)」でGeo-MGを適用し、有効性を確認した。
地山掘削では、位置情報と3Dの設計形状から重機の操作を補助するマシンガイダンスシステムが広く利用されているが、通常、使用するデータには地山の性状に関する情報が含まれていない。
Geo-MGは3D地質/土質モデルと設計掘削形状の3Dモデルを合成した掘削形状を生成し、地中の地質境界面を可視化してマシンガイダンスシステムに取り込むことで、重機を地質境界へ誘導する。これにより法面整形を行いながら地質ごとに土石材料を分別できる。
また、掘削範囲内の地質/土質モデルからボクセルを作成し、地質別に掘削土量を算出する。施工計画と組み合わせることで、土石材料が発生する時期、場所、量、種類などの把握も可能だ。
大切畑ダム堤体復旧工事での活用について
大切畑ダム堤体復旧工事は、ダムの貯水池容量を確保するために地山を掘削し、発生した建設発生土を使用して堤体を構築する。今回、Geo-MGにより地質境界へ重機を誘導し、地質ごとの分別を行いながら掘削を行った。
地質境界面付近での慎重な掘削を行った結果、異なる材料の混入を防止し、手戻り作業を削減した。また、地質変化に伴う材料採取の段取り替えの準備を事前に用意できるため、地質境界面データを利用しない掘削と比較して、掘削効率を平均で15%程度向上した。1日1台あたりのCO2削減量は88.9キロとなった。
さらに、掘削が完了した箇所から地質状況を確認し、地質境界面データを更新して3D地質/土質モデルの精度向上を図りながら施工を進めることが可能だ。
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