ゼネコン21社が「AIカメラ」を活用した配筋検査サービスを先行導入:現場管理
配筋検査システム協議会のゼネコン21社は、配筋を立体検知するAIカメラを活用し、配筋検査作業の時間を半減するサービスを先行導入した。
配筋検査システム協議会に参画するゼネコン21社と、パナソニック(現・パナソニックホールディングス)とトヨタ自動車の合弁会社で2020年1月に設立したプライム ライフ テクノロジーズは2024年4月8日、配筋検査の品質向上と業務効率化をサポートする配筋検査システムを共同開発し、2024年4月から建設DXサービス「CONSAIT(コンサイト)」の第一弾として先行導入を開始したと発表した。今後は、プライム ライフ テクノロジーズを介し、ゼネコン21社向けに月額サブスクリプションで提供していく。
検査や記録の正確性や検査品質が向上、作業時間も2分の1に
CONSAITは、パナソニック エレクトリックワークス社の技術を活用して開発したAIカメラ「CONSAIT Eye」で、配筋を立体的に検知し、鉄筋径や本数、ピッチ、鉄筋配置を計測。登録した設計データとも自動照合し、その結果を各帳票フォーマットへ自動反映する。検査や記録の正確性、検査品質が向上し、配筋検査の煩雑な作業も効率化につながるため、1測定箇所あたりの事前準備や検査/写真記録、帳票化の合計時間が約2分の1に短縮する。
CONSAITのサービス構成は、専用AIカメラのCONSAIT Eye、建設現場全般の記録業務を効率化/共有化する記録アプリ「CONSAIT Basic」、配筋検査専用アプリ「CONSAIT Pro 配筋検査」の3種類。システムやアプリ開発には、パナソニック エレクトリックワークス社に加え、パナソニック コネクトも担当している。
CONSAIT Eyeは、AIと3眼カメラを搭載したシステム専用のカメラデバイスで、誰の手でも持ちやすく使いやすい操作感を実現。配筋を立体的に検知し、撮影した画像をもとに、鉄筋径、本数、ピッチだけでなく鉄筋配置も計測する。遠隔臨場にも応じ、オフライン環境でも計測できる(データのアップロードやダウンロード時は、Wi-Fi環境が必要)。
CONSAIT Basicは、日々の建設現場の記録業務(電子小黒板の簡単作成、写真撮影、是正管理、図面管理、報告書作成)を効率化するアプリ。全ての工種に対応し、直感的な操作がウリ。CONSAIT Pro 配筋検査は、事前準備となる検査用データ入力や検査項目の設定、検査後の各帳票作成など、配筋検査の業務全体を効率化する。
配筋検査システム協議会会員のゼネコン21社は、青木あすなろ建設、淺沼組、安藤・間、奥村組、北野建設、熊谷組、五洋建設、佐藤工業、大末建設、高松建設(高ははしごだか)、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、日本国土開発、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、松村組、村本建設、矢作建設工業。
ゼネコン21社は、これまでに現場検証を重ね、配筋検査の検査品質や業務効率化に対して有効と確認済み。今後も、プライム ライフ テクノロジーズと継続的改善スキームで協業し、建設業界の課題解決と生産性向上を目指して、システム改良や土木工事も含む現場への普及を進めていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製品動向:配筋検査の事前準備をAIで自動化、施工管理アプリ「SPIDERPLUS」に新機能
スパイダープラスは、施工管理アプリ「SPIDERPLUS」に、配筋検査の事前準備を自動化するAI機能を追加した。スパイダープラスが保有する特許技術に基づき開発した独自機能で、配筋リストから詳細図面を切り出す作業や、切り出した詳細図面を建築図面に設置した検査アイコンとひもづける作業を自動で行う。 - 現場管理:「豆図付き黒板」をAIが10秒で作成、「ANDPAD」の新機能
アンドパッドは、配筋リストから豆図付き黒板作成をAIで作成する「黒板AI作成」機能の提供を開始した。 - スマートコンストラクション:スマホで使える土木現場用の「配筋自動検査システム」を開発、東急建設など4社
東急建設、北野建設、佐藤工業、ピーエス三菱は共同で、スマートフォンなどの汎用機で撮影ができる土木現場用の配筋自動検査システムを開発し、2024年度から現場での試行導入を開始する。撮影した写真は公衆回線を使用してサーバに送信し、遠隔での立会時には、配筋の自動検査と同時に計測結果帳票の共有も可能になる。 - 建設業界の新3Kを支援するソリューション:建設業務に特化した音声入力で2024年問題に対応 デジタル化断念した現場にも採用された理由
2024年問題を目前に、建設DXによる業務効率化が急務となっている。だが、デジタルツールを導入してみたものの、使いこなせず成果を得られない中小企業は多い。建設業に特化したAI音声認識サービスを提供するアドバンスト・メディアに、建設現場でのデジタル活用の課題や解決につながる生成AIを活用した新サービスなどを聞いた。 - 遠隔監視:遠隔地からCFT柱のコンクリート充填作業を管理、鹿島が工事映像配信システム開発
鹿島建設はCFT柱の施工作業を遠隔管理する工事映像配信システム「moni-as」を開発し、複数の現場に導入した。技術者や施工担当者の業務負担を軽減できることを確認した。 - AI:配筋検査を6割時短、建設システムのAI搭載端末「SiteRebar」
建設システムは、AI配筋検査端末「SiteRebar」をリリースする。ステレオカメラを搭載した専用端末で撮影した画像から、鉄筋の本数や太さ(径)、間隔を自動で高精度に計測し、配筋検査が1人だけで完了する。施工管理システム「デキスパート」とのクラウド連携により、検査データ作成から報告書までの手作業による転記作業を省略し、従来の配筋検査と比較して検査時間を約6割削減する。