コンクリート橋の大規模改修工事に新工法、炭素繊維材料使用 JR東海:新工法
JR東海は2024年9月から、コンクリート橋の大規模改修工事に対し、炭素繊維材料を使用した新工法を順次導入する。炭素繊維シートの重さは従来工法で使用する鋼板の60分の1以下で、作業員の負担を大幅に軽減する。
JR東海は2024年8月23日、コンクリート橋の大規模改修工事に対し、軽く高強度な炭素繊維材料を使用する新工法を開発したと発表した。2024年9月から順次導入を進めていく。
JR東海は2013年度から、予防保全の観点で土木構造物の大規模改修工事を進めてきた。対象構造物のうちコンクリート橋は、経年劣化によるコンクリートのひび割れなどを抑制するため、はね出しスラブを高耐食性めっき鋼板で覆う工法を採用している。
一方、この工法では1枚当たり最大60キロの重い鋼板を使用することから、JR東海では作業者の負担軽減などを目的に、技術開発を通じた工法の改善を検討してきた。これまでのJR東海小牧研究施設におけるさまざまな検証試験を踏まえ、今回、炭素繊維材料を活用した新工法を開発した。
炭素繊維シートの重さは従来工法の鋼板の60分の1以下
新工法は、はね出しスラブの表面を炭素繊維シートで覆い、接着剤で固定する。さらに、表面に保護材を塗布することで、従来工法と同等以上に経年劣化によるひび割れなどを抑制できるという。炭素繊維シートの重さは従来工法の鋼板と比べて60分の1以下で、作業員の負担を大幅に軽減し、被覆作業の安全性を向上する。
また、従来3人必要だった作業が1人で施工できるようになり、被覆作業の省人化を実現。構成部材が少なく材料費も鋼板より安価で、従来工法から3割程度のコスト低減を見込んでいる。
さらに、外壁にアンカーを通す小さな孔をあけるだけで施工可能で、高架下に建物がある場合でも大規模な撤去や復旧が不要で、工期短縮につながる。
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