「木」でつくる住友林業の事業用建築ブランド「The Forest Barque」 目標は年間30億円:木造化/木質化
住友林業は、木造の事業用建築ブランド「The Forest Barque」を展開する。木質梁勝ちラーメン構法を用いた独自の「ビッグフレーム構法」を使用し、年間30億円の売上を目標に事務所や店舗、診療所へ提案していく。
住友林業は2024年5月17日、事務所や店舗、診療所向けの木造化建築ブランド「The Forest Barque(ザ・フォレスト バーク)」を新たに立ち上げた。
ビッグフレーム構法で木質感ある室内空間を提案
ブランド名の「Barque」は、フランス語で中小型帆船の意。起業家や経営者にとって事業用建築は、大海原を航海する船長が乗組員の命を預ける帆船のように欠かせない存在とみなし、事業運営を力強く進める起業家や経営者と荒波に立ち向かう帆船の船長を重ね合わせて、The Forest Barqueと命名した。
新ブランドは、木質梁勝ちラーメン構法を用いた同社独自の「ビッグフレーム構法」を採用。大空間や大開口の設計が可能な他、間取りの制約が少なく、将来の間取り変更に対応しやすい点を特長としている(※ウォールフレーム構法も選択可)。
主要構造材には、「ビッグコラム(大断面集成柱)」を使用し、梁(はり)との接合部は、金属を相互に直接接合するメタルタッチ接合で、設計自由度が高く開放感あふれる間取りが実現する。
内装は、構造躯体の現しなど木質感を生かした空間とする。人と地球環境にやさしい「木」には調湿効果があり、リラックス効果や集中力を高める効果があると見られ、業務効率の向上につながると期待されている。断熱性にも優れ、「ZEB Ready」基準に対応し、暮らしに伴うCO2排出量(オペレーショナルカーボン)を低減する。
企画から設計、見積もり、施工、アフターサービスまでは、沖縄県を除く全国の営業拠点が一貫体制で担う。「構造躯体」「防水」は、定期点検で最長30年間保証する。
住友林業は、新ブランドの背景について、日本政府が2021年の地球温暖化対策計画で、事務所ビルや商業施設などの「業務部門」に分類する建物のCO2排出量を、2013年度比で51%削減する目標を設定したことを挙げる。住友林業のオーナーからも、住宅と同じ品質で事務所や診療所などを木造にしたいとの要望が年々増加し、今後も需要拡大が見込めるため、The Forest Barqueを発売し、年間30億円の販売目標を掲げる。
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