サンケイビル初の「木造オフィスビル」が秋葉原に誕生 熊谷組と住友林業が施工:木造化
熊谷組と住友林業は、サンケイビル初となる木造と鉄骨造のハイブリッド建築「(仮称)秋葉原木造オフィスビル計画」を施工する。2025年1月中旬に着工し、2026年3月下旬の竣工を予定している。
熊谷組は2024年6月26日、住友林業とともに、サンケイビル初となる木造と鉄骨造のハイブリッド建築「秋葉原木造オフィスビル計画(仮称)」を施工すると発表した。工期は2025年1月中旬に着工し、2026年3月下旬の完成を見込む。
新たなハイブリッド木造技術で時代のニーズに応える可変性を提案
秋葉原木造オフィスビル計画(仮称)の計画地は、東京都千代田区東神田二丁目5-1の敷地面積169.27平方メートル。構造と規模は、木造鉄骨造地上9階建で、延べ床面積は1017.04平方メートルとなる見通し。神田川を借景とした9階建てのファサードデザインは、木の質感を感じられる設えとする
敷地内に既存の建物が建っているため、既存杭を避けた位置に新築杭を設ける。建物南北の1スパンでは、先端部に杭を打たず、片持ち梁(はり)で上部構造を支持する。
建物中央の2スパンは、鉄骨造とし、片持ち部分の上部を木造とする。木部の柱梁は長期荷重のみを負担し、地震力は鉄骨部分に加え、「KS木質座屈拘束ブレース」が担う。KS木質座屈拘束ブレースは、熊谷組、住友林業、東京電機大学が共同開発した。
床には厚さ210ミリメートルのCLTを採用する。床や梁、柱には「環境配慮λ-WOOD II(ラムダウッド・ツー) 1.5時間」「CLT床 1、2時間」といった耐火技術を初めて用いる。また、最上階の梁には木質ハイブリッド集成材を採用している。木質ハイブリッド集成材は、住友林業が1時間耐火構造の大臣認定を取得している。
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