清水建設の河川工事で気象予報アプリ「ウェザーニュース」導入 大雨の河川増水を事前に察知:安全衛生
清水建設の河川工事で、ウェザーニューズのお天気アプリをビジネス向けに拡張した「ウェザーニュース for business」が導入された。最新の気象情報をもとに河川に降り注ぐ雨量増加やゲリラ雷雨、線状降水帯などの危険性をアラート通知で知らせるため、退避などの安全措置の時間確保が可能にになる。
ウェザーニューズは2024年7月16日、清水建設の那珂川の築堤工事で「ウェザーニュース for business」が現場導入された。
お天気アプリで河川の増水リスク把握、建設工事の安全対策へ
ウェザーニュース for businessは、気象予報アプリ「ウェザーニュース」をビジネス向けに拡張した法人向けのSaaS。屋外の建設現場での工事可否をはじめ、店舗や学校、工場の安全対策、農作物の生育管理、ダム管理など、さまざまな用途に合わせた法人専用の気象情報となっている。
河川工事向けとしては、「流域平均雨量」であらかじめ設定した河川の範囲での降雨量を表示。「累加雨量」では、雨の降り出しからの流域平均雨量を積算し、予測を72時間先まで1時間ごとに提供する。
また、雨量基準値を設定することで、降水リスクを「通常」「注意」「警戒」の3段階で判定し、プッシュ通知する。さらに、拠点ごとの天気予報や雨雲レーダー、台風の進路予測、落雷、河川水位、冠水や浸水の予報、避難情報、熱中症情報といった情報を閲覧できる。
国土交通省は、水害の多い出水期(6〜10月)に原則として河川工事を行わないこととしている。しかし、近年の気象予報技術の進展などを踏まえ、工事施工箇所周辺を含めて適切な防災措置を講じることで、出水期間中でも施工が可能とみなし、河川工事を発注している。
そのため、令和元(2019)年東日本台風(台風19号)で甚大な被害を受けた那珂川の築堤工事の一部を担当する清水建設は、築堤の現場や土取り場などの持ち場にいる作業員と協力会社でウェザーニュース for businessを活用し、タイムラインに沿って適切な防災措置を講じている。
清水建設は2023年12月に工事現場の安全性向上のため、ウェザーニュース for businessを導入。2024年7月16日には、那珂川の築堤工事「R4那珂川左岸小場地区周囲堤築堤工事」にも適用した。那珂川上流域の雨量増加やゲリラ雷雨、線状降水帯などの危険性を通知し、退避などの安全措置に役立てる。他にも、下水施設やシールドといった地下工事の安全対策にも活用する計画だ。
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