カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロックの現場実証を開始、大成建設:カーボンニュートラル
大成建設は、日建工学とともに、国土交通省関東地方整備局の現場ニーズに対して、同社と日建工学の技術シーズをマッチングさせた「カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック」を製造した。今後、両社は、コンクリートブロック製造時の工程、品質、安全性といった評価、備蓄、供用時のCO2吸収量を評価するとともに、実現場への適用や展示会などへの参加を通して、多様な事業でCO2削減活動の普及促進と啓蒙に努めていく。
大成建設は、日建工学とともに、国土交通省関東地方整備局が公募した「第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング」で、同局の現場ニーズに対して同社と日建工学の技術シーズをマッチングさせた「カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック」を製造し、同局の荒川下流河川事務所管内における現場で、CO2吸収効果などの性能について現場実証を2022年8月に開始した。
実証試験の紹介看板を現場内で掲示
国土交通省関東地方整備局では、「i-Construction」推進の一環として、新技術の現場導入に関わる技術開発や企業間連携「xTech(クロステクノロジー)」を実装するために、2017年度に公募事業として、「現場ニーズと技術シーズのマッチング※1」を行っている。
※1 現場ニーズと技術シーズのマッチング:2017年度から国土交通省関東地方整備局が実施しているi-Construction推進の一環で、2019年度からは関東経済産業局及び中小企業基盤整備機構関東本部で行っているオープンイノベーション・マッチングスクエアと連携した「コンストラクション・オープンイノベーションマッチング」として公募している事業。
上記公募事業の「第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング」に挙げられた現場ニーズである「CO2吸収コンクリートによるコンクリートブロック」のテーマに対して、大成建設と日建工学は、技術シーズとして大成建設の「T-eConcrete/Carbon-Recycle」と日建工学の「環境活性コンクリート」を組み合わせた「カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック」を共同で提案した。
その結果、現場ニーズと技術シーズのマッチングが成立した。両社は、災害対策備蓄用としてCO2を吸収する根固めブロックを製造し、2022年8月から同ブロックの性能実証試験を行っている。加えて、CO2削減の取り組みを現地でも積極的にアピールすべく、2022年12月からは同局により実証試験の紹介看板が現場内で掲示されている。
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