都市型自動運転船の実証実験を大阪城公園で実施、竹中工務店:ロボット
竹中工務店は、海床ロボットコンソーシアムとともに、大阪府大阪市中央区にある「大阪城公園」の東外堀で、都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の実証実験を行った。海床ロボットは、2025年日本国際博覧会協会(博覧会協会)と大阪商工会議所が主催する「2025年大阪・関西万博の会場予定地である夢洲における実証実験の提案公募」に2021年5月に採択されている。
竹中工務店は、海床ロボットコンソーシアム※1とともに、大阪府大阪市中央区にある「大阪城公園」の東外堀で、都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の実証実験を2022年12月7〜8日に行った。
※1 海床ロボットコンソーシアム:竹中工務店、東京海洋大学海洋工学部清水研究室、IHI、炎重工、水辺総研、新木場海床プロジェクト、ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会、あいおいニッセイ同和損害保険から成る共同プロジェクト。
着桟時に海床ロボットに充電する仕組みを実証
海床ロボットは、海床ロボットコンソーシアムが開発した純国産制御システムを搭載し、海や運河・河川、湖沼などの水面に浮かべた床(3メートル四方)を自動で動かして、離着岸する自動運転船。
今回の実証実験は、2021年12月に大阪城公園の東外堀で実施した実証実験に続くもので、座席型海床ロボットに乗った乗客に、店舗型海床ロボットに乗った店員が飲み物を提供するといったシチュエーションを設定し、2台のロボットで、自動航行と着桟時にロボットを非接触充電する仕組みを実証した。
実験にあたり、高精度GPSを搭載し、ドッキング機構を有した2台の海床ロボット(座席型・店舗型)を試作。加えて、実証実験では、あらかじめ設定したルートを自動で航行し、2台が衝突しないように制御して、スタート地点の桟橋から目的地を往復した。航行中に、座席型の乗客から呼び出した店舗型に飲み物を注文し、2台の海床ロボットがドッキングし店舗型で作った飲み物を受け渡した後、座席型と店舗型は離れて航行。
海床ロボットへの非接触充電では、乗降用の桟橋に、非接触充電機能と踏切バーによるロック機構を持たせた他、電気で動く海床ロボットの実用化では、簡易で安全な充電方法が求められていることを踏まえて、着桟時に海床ロボットに充電する仕組みを実証した。
なお、2021年の実証実験では、タブレットのインタフェースで海床ロボットを操作し、「水上自動走行」を実証した。実証では、高い精度の位置制御を実施し、海床ロボットで桟橋への「自動離着岸」を行っただけでなく、デジタルファブリケーションを用いて、用途に応じて船の上屋を変えられる仕組みを検証。
2023年以降の実証実験では、「運搬ドローン連動機能」「海ゴミ清掃ロボット」「複数ロボットの群管理」の検証を目指し、運搬、環境、エンターテーメント、防災など、用途に合わせた開発に取り組む予定だ。
ちなみに、今回の実証実験に協力した企業と団体は、岩手県大船渡市綾里漁港(開発フィールド提供)、センティード(上屋製作協力)、東京湾マリーナ(開発フィールド提供)、ヨッティングワールド(フロート提供)、ダイヘン(非接触充電装置提供)。
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