「桜新町」駅改修で出入口上家を木材で2025年度に新設、東急と東急電鉄:木造化
東急と東急電鉄は、田園都市線「桜新町」駅リニューアル工事で、北口と西口の出入口上家を木材で新設する。両社によると、全ての構造部材を木材とした地下駅から地上への出入口上家は全国で初となる。
東急と東急電鉄は、田園都市線地下区間5駅(池尻大橋駅〜用賀駅)のリニューアルプロジェクト「Green UNDER GROUND」第2弾となる桜新町駅リニューアル工事において、北口と西口の出入口上家を木材で新設する。北口出入口から段階的に着手し、北口、西口出入口上屋全ての工事は2025年度に完成する。
CO2約7トンを固定化し、地方木材を積極的に活用
出入口上家は、勾配屋根の外観を取り入れ、軽やかな印象となる三角形を単位とした構造骨組の木造トラス構造を採用した。使用木材の一部には青森県産材とし、2004年から続く「桜新町ねぶた祭り」をはじめ、桜新町と青森の交流の歴史を受け継いでいる。また、CO2約7トンを固定化し、排出量を抑制するとともに、地方木材を積極的に活用し“地産都消”を推進する。
今回の出入口上家を含む桜新町駅リニューアル工事は、2026年夏(予定)の完工に向け、「桜新町駅周辺の風景や人々の暮らしに寄り添う空間の創出」を目指している。地下2階、地下3階のホーム階では、桜並木を想起するアーチ状の壁面を新設し、木材のカウンターやベンチも設置する。
今後は、第1弾の駒沢大学駅リニューアルに続き、設備を常時監視し、故障の兆候が見られた時点で修理する仕組みの「CBM」による空調設備などの効率的な運用など、脱炭素や循環型社会に向けて取り組む。
さらに、長谷川町子美術館との連携により、工事期間中の仮囲いにサザエさん一家のキャラクターが出現し、桜新町の魅力を発信する。工事中の現場でも、街のにぎわいを創出し、地域に開かれた駅づくりも進める。
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