作業者の体調変化をスマートウォッチで検知、危険予知に活用 大成JVの工事現場で採用:安全衛生
ユビテックが提供する、スマートウォッチを使用した作業者の安全見守りサービス「Work Mate」が、大成・佐藤・岩田地崎特定建設工事共同企業体(JV)の「成瀬ダム原石山採取工事(第2期)」に導入された。
ユビテックは2024年7月9日、スマートウォッチを使用して作業者のバイタル情報や位置情報をリアルタイムで可視化する安全見守りサービス「Work Mate」が、大成・佐藤・岩田地崎特定建設工事共同企業体(JV)の「成瀬ダム原石山採取工事(第2期)」に導入されたと発表した。
ユビテックのWork Mateは、転倒や転落、さまざまな体調変化のリアルタイム検知に加え、バイタルや活動量データから熱中症の予兆や注意力低下などの危険予知を行う。これにより、労働災害の未然防止を目指すサービスだ。
熱中症予兆の機能では、実証で得たバイタルデータをもとにユビテックが独自開発したアルゴリズムを活用する。作業者個人に合わせた休憩のタイミングが分かり、回復状態も検知できるため、現場での適切な休憩と現場復帰を促すことが可能だ。
また、注意力低下の検知機能では、スマートウォッチから取得したパルスと加速度のデータをリアルタイムで分析。動作に対してパルスが平常時より低い状態が一定時間継続した場合、注意力低下状態と判定する。
いずれの機能も、日々のバイタルデータの個人特性をAIが学習することで、検知精度が進化するという特徴がある。
労働災害の早期発見や未然予防、作業効率改善につなげる
今回、現場適用した東北地方整備局発注の成瀬ダム原石山採取工事では、石山から岩石を採取し、ダム堤体の材料となる石や砂れきなどの骨材の製造と貯蔵を行っている。作業員の熱中症予兆や疲労の蓄積などの体調変化を確認できるWork Mateを導入することで、事務所と作業員間の良好なコミュニケーションを構築し、労働災害の早期発見や未然予防につなげる。
また、作業員の位置情報や滞在時間の分析を行うことで、建設現場内の異変が発生している箇所やトラブルを発見し、作業効率の改善を図る。
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