奥村組が熱中症対策を強化、建設作業員向け体調管理プログラムを試験導入:現場管理
奥村組は、建設作業員を対象とした体調管理プログラムを建設現場に試験導入した。作業員の体調や疲労度を適切に管理することで、熱中症の防止につなげた。
奥村組は2024年7月1日、スポーツ関連のITソリューション開発を手掛けるユーフォリアが開発した体調管理プログラム「ONE TAP SPORTS for Biz」を建設現場向けに最適化し、試験導入したと発表した。一定の熱中症発症リスク低減効果が見られたことから、今後、複数の現場に適用していく。
ONE TAP SPORTS for Bizは、ユーフォリアが持つスポーツ選手向けのコンディショニング管理のノウハウを活用し、身体的負荷の高い業務に就くワーカー支援を目的に開発したウェルネスプログラム。
今回初めて建設現場に適用するにあたり、現場関係者へのヒアリングに加え、運動生理学を専門とする東京大学大学院 総合文化研究科 教授 八田秀雄氏の指導のもと最適化を図った。
作業員はスマホやタブレットから自身の疲労度、睡眠の質などの主観データや睡眠時間、体重、水分補給量などの定量的な客観データを毎日入力する。産業トレーナーはデータをモニタリングし、作業員に対してコンディションのフィードバックと改善に向けたアドバイスを行う。現場管理者はモニタリングデータ分析レポートに基づき、建設現場の作業環境改善に活用できる。
夏場の建設現場でプログラムを試験運用 適切な管理で熱中症を未然に防止
奥村組は2023年8月後半から10月末にかけて、建設現場で屋外作業を行う作業員20人を対象にプログラムを試験運用した。作業員は毎朝、始業時に行う作業内容の確認と危険予知活動(KY活動)の一環として、タブレットで自身の体調に関するデータを入力した。
試験運用の結果、作業員は、産業トレーナーからの改善アドバイスにより、体調維持に必要な作業時と作業後の十分な水分摂取などを適切に実行できたという。現場管理者は、データ分析レポートをもとに適切なタイミングで熱中症対策を行い、期間中、熱中症や熱中症疑いなどの事象は発生しなかった。
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