ビル風を34時間先まで3D予測 高所工事の判断などでウェザーニューズが提供:環境シミュレーション
ウェザーニューズは、ビルや工場の施設管理、工事の作業可否判断、企業の防災対策やBCP対策などをサポートするため、「ウェザーニュース for business」の新機能として「超高解像度モデル」を追加した。地上付近から上空150メートルまでのビル風を5メートルメッシュで、1時間ごと34時間先まで細かく予測できる。
ウェザーニューズは2024年5月29日、累計4200万ダウンロードの天気アプリをビジネス向けに拡張した「ウェザーニュース for business」で、高解像度に風を予測する「超高解像度モデル」の提供を開始した。
ビル風を5mメッシュで34時間先まで予測
ウェザーニュース for businessは、企業の防災対策やBCP対策、工場やビルの施設管理、工事の作業可否判断、花火大会やイルミネーションなどのイベント運営など、さまざまな用途に対応する気象情報を提供している。
新たに機能追加した超高解像度モデルは、ビル風などの局地的な強風を5メートルメッシュの高解像度で、1時間ごとに34時間先まで細かく予測する。超高解像度モデルには、建物や周辺環境の情報を含む3次元データを入力し、複雑な市街地の風の流れをシミュレーション。ビル風などの局地的な強風は、工事現場の足場を崩落させたり、屋外に設営されたテントを吹き飛ばすなどの事故につながるため、あらかじめ強風のリスクを把握し、建設作業や不動産管理、屋外イベント開催時の安全対策に役立つ。
ウェザーニューズは、さかのぼること2017年に筑波大学計算科学研究センター 教授 日下博幸氏の研究室と共同研究を開始し、「都市気象予測モデル」の実用化に向けた観測データによる検証を重ね、2020年夏にはプロトタイプの運用をスタート。都市気象予測モデルは、市街地や都市部の3次元データを活用した解像度の高さが特徴となっている。3次元モデルの運用にはPCによる高度な計算能力を必要なため、自社のクラウド技術を応用することで都市気象予測モデルの実用化に成功し、今回、法人向け超高解像度モデルとして提供することとなった。
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