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建設業がBIMで目指すべき“サステナビリティ”への道 世界最古の規格協会BSIが提言BIMを軸とした建設業の未来像 Vol.1(1/4 ページ)

国内でもBIMの国際規格「ISO 19650」を取得する企業が増え、BIM=情報マネジメントの概念が浸透してきている。ISO規格の策定や認証サポートを国内外で展開するBSI(英国規格協会)は、BIMが作業効率化や建設生産プロセスの全体最適化だけでなく、環境負荷の軽減やエネルギー効率の向上など、サステナビリティ推進の基盤にも成り得ると提案する。

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 BSI(British Standards Institution:英国規格協会)の日本法人BSIグループジャパン(略称:BSIジャパン)は2024年3月、「デジタルトランスフォーメーションと建設業の未来―サステナビリティへの道」と題するセミナーを開催した。

 本稿では、来日したBSIの建築環境分野でマネージングディレクターを務めるアンドリュー・バターフィールド(Andrew Butterfield)氏と、グローバルディレクターのジョナサン・ブレトン(Jonathan Breton)氏、BSIグループジャパン 部長 仁井田克英氏の3者による前半のセッションを中心に振り返る。

建築分野でどのようにして、2050年までにネットゼロを達成するか?

BSI マネージングディレクター アンドリュー・バターフィールド氏
BSI マネージングディレクター アンドリュー・バターフィールド氏 筆者撮影

 最初にBSIの活動内容を紹介したバターフィールド氏は、建設製品から、BIM、イノベーション、スマートシティーまでの認証プログラムや認証システムに関する知見が豊富で、BSIでは安全で持続可能かつレジリエントな建築環境を実現するためのグローバル戦略を統括する立場にある。

 BSIは、世界最古の規格協会として120年に及ぶ歴史の中で、クライアント数は193カ国8万4000件に達し、多くのステークホルダーと協力しながら、社会課題に対するソリューションを提供してきた。ソリューションとは、ISO規格などの策定から、監査、認証、トレーニング、コンサルティングまでの多岐にわたる。

 建築分野でも、「サステナビリティ」「デジタルトラストと変革」「安全衛生を含むヘルスケア」「品質管理」を建築環境に影響を与える主要テーマと位置付け、対応する規格の策定や認証を進めている。

BSIが建設業界で重要と位置付ける4つの領域
BSIが建設業界で重要と位置付ける4つの領域 提供:BSIグループジャパン
BSI グローバルディレクター ジョナサン・ブレトン氏
BSI グローバルディレクター ジョナサン・ブレトン氏 筆者撮影

 本題となる建築のネットゼロへの貢献に関しては、アジア地域をメインに建設業界のマーケティングや事業開発戦略を15年リードしてきたブレトン氏が説明した。

 ブレトン氏によると、パリ協定の目標を達成し、地球温暖化を1.5℃以下に抑えるには、「2050年までの経済で完全に脱炭素化することが不可欠。総CO2排出量の約37%を占める建築分野では、遅くとも2030年までに新築ビルのCO2排出量を2013年との比較で46%削減し、2050年までには既存も含む全てのビルでネットゼロが求められる」と提言した。

建築・土木のプロセスで占めるCO2排出量の割合
建築・土木のプロセスで占めるCO2排出量の割合 提供:BSIグループジャパン

 建築の炭素源は、建材や設備の製造、輸送、設置に起因する“エンボディードカーボン”と、建物運用時の“オペレーションカーボン”で半々。エンボディードカーボンは、「日本では2030年までに現在のレベルから少なくとも40%削減し、2050年までにネットゼロにしなければならない。そのためには、建物や建設システム全体の具体的なロードマップを策定し、実行することが欠かせない。目標達成は1人では成し遂げられないため、建築業界を取り巻く全企業間で調整と協力が必要だ」とブレトン氏は強調する。

建築環境の炭素源は、“エンボディードカーボン”と“オペレーションカーボン”で半分ずつ
建築環境の炭素源は、“エンボディードカーボン”と“オペレーションカーボン”で半分ずつ 提供:BSIグループジャパン
建築が目指すべき脱炭素化のゴール
建築が目指すべき脱炭素化のゴール 提供:BSIグループジャパン

 そこでBSIでは、建設会社のネットゼロへの取り組みを後押しするべく、CO2排出量の固定から削減、管理方法、オフセットに至るまで、建築分野でのネットゼロの方針を示すさまざまなソリューションを提供している。建設企業にとって前提となるBIMのスタンダード規格「ISO 19650」に準拠した後、カーボンニュートラルを加速させるために有効となるのが、建築物やインフラ開発で炭素を管理するための国際規格「PAS 2080」だ。

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