生成AIとIoTで建設現場の“unknown”を無くす!西松建設の工事で4割時短したMODEの頼れるAI部下:AI(3/3 ページ)
MODEは、生成AIとIoTのチカラで、建設業界を筆頭に多様な産業の課題解決を目指すスタートアップ企業。IoTのチカラとしては、IoTデータを集約して可視化するプラットフォーム「BizStack」が、前田建設工業など複数のゼネコンで活用されている。今回、生成AIを現場を最もよく知る作業員の部下やアシスタントと位置付けた機能を追加した。先行導入した山岳トンネル工事では、40%の時間削減などの効果が得られているという。
「BizStack Assistant」はTeamsやSlack、directなどのアプリ上でそのまま動作
具体的な利用イメージとしては、排水ポンプのモニタリングを想定すると一連の流れが分かりやすい。トンネルは掘削すると流水が湧き出てくるため、24時間排水ポンプを動かし続けているが、止まっていてもなかなか気付かない。BizStack Assistantであれば、IoTセンサーから得たデータが閾(しき)値を超えるとAIがポンプ停止のアラートを飛ばし、通知を受け取った作業者はどの程度あふれそうなのかを聞く。そうすると、タンクの水位は52%と返答があり、ライブ動画でも確認すれば急を要しないまだ余裕があるとの判断もできる。その後の復旧作業では、絶縁手袋の着用や配電盤のブレーカーを事前に落とすなどの注意事項も含めた設備ごとの復旧手順に加え、交換部品の型番も問えば資料参照付きで教えてくれる。
建設以外のユースケースとしては、パナソニック草津工場がある。燃料電池や太陽電池、蓄電池で太陽光発電を組み合わせた発電プラントでは、設備の発電量を確認するのに、PC上のダッシュボードを見に行ったり、CSV出力したり、ほとんど人の手で行っていた。BizStack Assistantによって、発電量や消費電力のグラフ化、最大/最小値といったデータ解析の自動化にととまらず、300件近い高度な技術的疑問にも98%以上の回答率で答えられるようになり、プラント管理業務全体の効率化がもたらされた。
BizStack Assistantでできることは現場巡回や設備機器の定期点検に限らず、過去の設備トラブルなどの履歴参照や日々の帳票作成の自動化も実現する。利便性の観点でも、専用のアプリケーションをインストールしたり、わざわざダッシュボードをPCで見たりするわけではなく、いつも使っているTeamsやSlack、建設業向けビジネスチャット「direct(ダイレクト)」などのアプリ上でそのまま使える。最近では、日本語が使えない外国人労働者も増えていることを考慮して、英語などの多言語にも対応している。
導入時の前提として、まずはBizStackでIoTを活用したリアルタイムデータを取得するためのセンサーと、データを集約してインターネットにつなぐゲートウェイを設置する必要がある。もし既に連携可能なIoTデータがあったり、BizStackに使えるIoTセンサーであれば、最短2週間で初期設定が完了する。
今後のロードマップとしては、複数のデータを取って質問に対し、正確に回答することと、異常時に10秒以内のアラート送信までの実用化を当面の目標としている。「2024年度内には、月報や週報の出力機能も精度を上げて完成させる。インタフェースもチャットだけでなく、2025年度以降は現場にもっと最適な方法がないかを模索していく」(渡邊氏)。
さらに、CalTa(カルタ)が提供する現場管理業務をデジタル地図上で行えるソフトウェア「TRANCITY(トランシティー)」との連携も進めている。TRANCITYは、スマートフォンやドローンで撮影した動画をアップロードするだけで、電子地図上に3Dデータを自動生成し、時系列も含む施工管理が可能になる。そのため、BizStackで収集したリアルタイムデータを3Dデータ上に置き、AIアシスタントでデータにいつでもアクセスできるデジタルツインの一括管理が実現する。
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