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大林組が見据えるデジタル戦略の現在と未来 BIM生産基盤による“生産DX”大手ゼネコンの建設DX戦略(1/3 ページ)

大林組は、収益の根幹となる「生産DX」、生産DXを下支えする「全社的DX」、全てのデジタル化とDXを担保する「情報セキュリティの強化」を骨子に、デジタル戦略を展開している。複数の変革とデジタル深化で、挑戦を続ける大林グループのデジタル戦略の現在と未来をセミナーレポートを通して紹介する。

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 MCデータプラスは2024年3月1日、東京都港の品川インターシティホールでプライベートイベント「建設DXカンファレンス2024」を開催した。

 イベントの基調講演で、大林組 常務執行役員 DX本部長 岡野英一郎氏は、「現在(いま)とあるべき未来をDXでつなぐ〜大林グループのデジタル戦略〜」と題し、デジタル化の取り組みを紹介した(※役職は2024年3月時点)。

大林組が中期経営計画で掲げる建設DX戦略の全体像

大林組 常務執行役員 DX本部長 岡野英一郎氏
大林組 常務執行役員 DX本部長 岡野英一郎氏 ※役職は2024年3月時点 筆者撮影

 大林組は、1892年に土木建築請負業「大林店」として創業した総合建設企業。2024年で133年目を迎える歴史の中で、次の時代に向けた数々の変革を経験してきた。

 現在では、大林グループは「中期経営計画2022」を策定し、デジタルによる改革の実践に注力している。2022からの2年間は基礎強化に取り組み、2024年からの3年間で変革の実践に移行する計画だ。

 大林グループにおけるデジタル戦略は、収益を支えるDXとなる生産DXと、生産DXを支える4本柱(全社的DX)、情報セキュリティの強化という骨子で組まれている。今回の講演では、この中から特に生産DXにスポットを当てて説明した。生産DXは、業務プロセス改革(BPR)とBIM生産基盤、事業部門のデジタル化で成り立っている。さらに生産DXは、バックオフィスDXでもある全社的DXが支える。全社的DXは、社内データの統合や活用、システムのスリム化、業務の自動化/省人化、デジタル人材の育成といった4要素で構成し、全体で生産DXをサポートする。

大林グループのデジタル戦略全体像。生産DXを全社的DXが支える。情報セキュリティの強化は、全ての土台となる
大林グループのデジタル戦略全体像。生産DXを全社的DXが支える。情報セキュリティの強化は、全ての土台となる 提供:大林組

 大林グループのデジタル戦略では、社会情勢と建設業界の動向に沿って、未来像を設定している。その未来像は、DX戦略に基づく、未来像までの道筋を未来から現在へとさかのぼる“バックキャスト”で策定したデジタル施策の実行によって実現する。また、各施策はROIC評価とOODAループ分析で、資金と時間が無駄なく活用されているかをチェックする仕組みも整えている。

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