手書きの文字入力が建設現場を変えた MetaMoJi創業者が現場DXにかける思いとは:建設業界の新3Kを支援するソリューション(1/4 ページ)
ジャストシステムの創業者で日本語ワープロソフト「一太郎」の開発者としても知られる浮川和宣氏と浮川初子氏は、2009年にMetaMoJiを設立して以降、現場業務のデジタル化を支援するアプリの開発に注力してきた。2015年にリリースした施工管理業務支援アプリ「eYACHO」は、その使いやすさが評価され、契約企業数550社、利用者は5万5000ユーザーまで拡大している。両氏に、現場DXにかける思いについて聞いた。
紙の野帳をデジタル化した施工管理業務支援アプリ「eYACHO(イーヤチョー)」を展開するMetaMoJiの代表取締役社長 浮川和宣氏と代表取締役専務 浮川初子氏の夫妻は、ジャストシステムの創業者であり、日本語ワープロソフト「一太郎」の開発者としても知られる。
両氏は2009年にMetaMoJiを創業し、2011年にiPhone/iPad用の手書き文字入力アプリケーションをリリースして以降、一貫してモバイル端末用の仕事効率化、業務改善アプリの開発に取り組み、現場業務のデジタル化にこだわってきた。その使いやすさが評価され、eYACHOの契約企業数は550社、利用者は5万5000ユーザーまで拡大している。浮川社長と浮川専務に、現場DXにかける思いについて聞いた。
黎明期から一貫して「日本語処理技術」に関わる
――御二人は黎明期から一貫して日本語処理技術に関わって来ました。これまでの経緯を聞かせてください
浮川社長 私と専務は1979年にジャストシステムを創業し、1985年に日本語ワードプロセッサ「一太郎」を世に送り出しました。2009年、キーエンスとの資本業務提携を機にジャストシステムを退社。同年に60歳でMetaMoJiを設立し、2024年で創業15年目を迎えました。
浮川専務 ジャストシステムではPC用の日本語処理システムを先駆けて開発し、1982年に現在の「ATOK」の前身である日本語処理システム「KTIS」を発表しました。この技術を発展させてワープロソフトの開発を進めていたところ、NECから、開発中だった「PC-100」にバンドル(プリインストール)するワープロソフトとして採用したいという連絡がありました。
当時市場をリードしていたNECのPC-9800シリーズにはOSに日本語フロントエンドプロセッサが組み込まれており、さまざまな日本語のアプリケーションがアーキテクチャ上で作動できるようになっていました。こうした流れの中で、1983年、NECのPC-100にジャストシステムが開発したワープロソフト「JS-WORD」が搭載されたのです。
浮川社長 私たちがジャストシステムを立ち上げた当時、日本語対応のワープロソフトは存在せず、卒業論文も仕事の企画書も全て手書きでした。この話を今の若い世代にしても、なかなか想像がつかないようです。私たちは日本人がより便利に作業できる環境を提供したいという願いを持って創業しましたから、その目標が実現できていることに感謝しています。
浮川専務 ジャストシステム時代には、日本語のUnicode(ユニコード)標準化に貢献する活動にも積極的に取り組みました。ユニコード標準化について議論する国際的なコンソーシアムには、製品を持つメーカーのみが参加できるという条件があり、一太郎を発売しているジャストシステムに声がかかったのです。ジャストシステムは、日本語の処理に関して最先端の技術を持っていましたから、国際標準化活動には社会的な意義があると考え参加を決めました。
当時、日本語はUnicodeの標準化に関して後れを取っていました。日本語は複雑な文字体系ですが、Unicodeに適切に組み込むことができれば情報処理を効率化でき、ユーザーの利便性向上につながります。メーカーとして責任を持つべき活動だという思いから、2009年まで10年近くジャストシステムから社員を派遣し、提案を重ねました。
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