ゼネコン21社とPLTが“配筋検査システム”を2023年度に実用化、検査時間を6割減:AI
プライム ライフ テクノロジーズとゼネコン21社は共同で、AIを活用した配筋検査を省力化する技術開発を進めている。2022年度内にも現場での実証を行い、2023年度の実用化後には、参画社以外のゼネコンにも提供していく。
パナソニック、トヨタ自動車、三井物産の出資で、2020年1月に設立したプライム ライフ テクノロジーズ(PLT)と、ゼネコン21社は、2020年9月に共同研究開発契約を締結後、鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム」の開発を進めている。配筋検査システムは、専用の3眼カメラで撮影し、検査部位の鉄筋本数、鉄筋径、間隔、配置を立体的に捉えて認識する仕組み。
21社とPLTは、検査業務時間の60%削減を目指し、2022年度には建設現場で実証実験を行い、2023年度からの本格運用を目指す。
配筋検査システムは、21社が開発中の「AI(人工知能)を活用した鉄筋認識に関する技術」と、PLTがパナソニックと共同開発した配筋検査用システムとカメラ、アプリケーションの技術を融合させることで、鉄筋の立体配置を認識させる。
手順は、構造設計図から配筋検査のためのデータを作成し、現場での専用カメラの撮影画像をもとに、配筋検査(本数、鉄筋径、間隔、配置)を計測。設計データと計測結果を比べ、AIで自動照合して、鉄筋配置の断面形状を含めた検査結果をクラウドへアップ。検査記録は帳票で出力できるほか、是正箇所のトレーサビリティーも残せるようにする。
実証実験では、撮影時間1分で、鉄筋検出率100%、鉄筋径の判定は95%の目標を設定している。
参画している21社は、青木あすなろ建設、淺沼組、安藤・間、奥村組、北野建設、熊谷組、五洋建設、佐藤工業、大末建設、高松建設、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、日本国土開発、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、松村組、村本建設、矢作建設工業(2022年3月現在)。
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