既存の窓ガラスを太陽光発電システムに転換 大成建設がリニューアル工法開発:製品動向
大成建設は、ガラス交換の要領で既存窓のサッシ枠に太陽電池モジュールをはめ込み、短時間で太陽光発電システムを設置できるリニューアル工法を開発した。
大成建設は2024年2月20日、既存の窓サッシ枠に太陽電池モジュール「T-Green Multi Solar(ティーグリーンマルチソーラー)シースルータイプ」をはめ込むことで、太陽光発電システムを導入するリニューアル工法を開発したと発表した。大掛かりな外装工事は必要なく、短時間、低コストでの施工を実現する。
ガラス交換の要領で窓サッシ枠の溝にはめ込むだけで太陽光発電を導入
T-Green Multi Solarは、大成建設とカネカが2019年に共同開発した、建物の外壁/窓と一体型の太陽電池モジュール。透過性があり採光を確保するシースルータイプと、透過性がなく意匠性の高いソリッドタイプの2種類がある。
既存オフィスビルの窓に使用されている単板ガラスなどを、T-Green Multi Solarシースルータイプに置き換えることで、発電によるエネルギー創出に加え、Low-Eガラスとの複層化により断熱性が向上する。一方で、既存のオフィスビルではこれまで、窓サッシ枠の溝幅によってはT-Green Multi Solarが設置できないケースがあり、設置する場合はサッシ枠交換などの大掛かりな外装工事が必要だった。
大成建設は今回、不二サッシの協力を得て、新たなリニューアル工法を開発した。T-Green Multi Solarシースルータイプに、工場でアルミ製リブ付きアタッチメントを取り付け、ガラス交換の要領で既存窓サッシ枠の溝にはめ込んで設置する。設置場所の条件に応じて、必要な耐風圧性能を有する製品を既存窓に適合した最適な寸法で製作する。
施工手順は、まず、通常のガラス交換と同じ要領で既存ガラスを取り外し、アタッチメント付T-Green Multi Solarのリブ部分を既存窓サッシ枠の溝にはめ込む。はめ込んだ部分を現場でシール加工し、アタッチメント内部に格納された太陽電池の配線ケーブルを建物側ケーブルに接続すれば、施工が完了する。
大成建設は今後、新築建物だけでなく、既存建物へのT-Green Multi Solarの導入を積極的に提案していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ZEB:2024年4月から始まる住宅・建築物の「省エネ性能表示制度」、そのポイントをおさらい
建築物の省エネ性能の周知を目的に、2024年4月からスタートする「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」。本稿では同制度の概要や、運用方法の概要などについて解説する。 - ZEH:賃貸住宅で住戸ごとに接続できるEV充電設備を全国展開、積水ハウス
積水ハウスは、入居者売電方式の賃貸住宅「シャーメゾンZEH」において、住戸ごとに専用接続できるEV(電気自動車)の充電設備を設置する全国での体制を構築した。 - ロジスティクス:東急不動産、茨木市に延べ16万m2の物流施設竣工 屋根上に約4.8MWの太陽光発電
東急不動産が大阪府茨木市で計画していた物流施設「LOGI'Q(ロジック)南茨木」が、西松建設の施工で竣工した。敷地面積約6万4510平方メートル、延べ床面積約16万1539平方メートルのS造4階建てで、東急不動産の物流施設では過去最大規模となる。屋根上に約4.8MWの発電能力を持つ太陽光発電設備を設置し、発電した電力は自家消費する。 - ZEB:品川区が公立特別養護老人ホーム初のZEB認証取得 区有施設では6件目
品川区は区立「八潮南特別養護老人ホーム」の増築棟において、公立特別養護老人ホームとして全国で初めてZEB認証を取得した。増築棟は2026年度の竣工を予定している。 - 再エネ:大林組の大規模製材工場で、オンサイトPPAの再エネ電力供給事業に着手
大林クリーンエナジーとサイプレス・スナダヤは、大規模製材工場でオンサイトPPAによる再エネ電力供給事業に着手した。工場屋根に2MWの太陽光発電設備を設置し、2024年12月の稼働以降は年間約970トンの温室効果ガス排出削減を見込む。 - BIM:BIMの属性情報を標準化した「BIMオブジェクト標準Version2.0」公開
BIMライブラリ技術研究組合は、BIMの属性情報を標準化したBLCJ標準Ver.2.0を公開した。2025年度に一部試行が始まるBIMによる建築確認申請を見据え、ダンパーなどの対象品目も追加している。