BIMの属性情報を標準化した「BIMオブジェクト標準Version2.0」公開:BIM
BIMライブラリ技術研究組合は、BIMの属性情報を標準化したBLCJ標準Ver.2.0を公開した。2025年度に一部試行が始まるBIMによる建築確認申請を見据え、ダンパーなどの対象品目も追加している。
BIMライブラリ技術研究組合は2023年12月12日、2019年度の設立時に目標としてきた「BLCJ BIMオブジェクト標準Version2.0(略称:BLCJ標準Ver.2.0)」をWebサイトで公開した。BLCJ BIMオブジェクト標準は、BIMライブラリ技術研究組合がRIBA(王立建築家協会)の下部組織「NBS:National Building Specification(標準仕様書協会)」が策定したNBS BIMオブジェクト標準に準拠し、日本の技術や建設慣習などをもとに定めた標準のこと。
BLCJ標準Ver.2.0は、BIM活用が拡大する中で課題となっている「円滑な情報伝達の実現」を目的に、BIMの属性情報を標準化した。国土交通省の建築BIM推進会議で示す工程表でも目標の1つと位置付けている。
主な特徴は、英国NBSオブジェクト標準の構造を保持しつつ、日本の細やかなものづくりの技術基準に対応。実務者の視点から、設計・施工・製造の主要な情報を属性情報にとり込み、標準化した。2025年度に予定されているBIMを用いた建築確認申請でのメリットがもたらされる他、公共建築工事標準仕様書の用語と整合性も図っている。
分類コードは、建設業振興基金・建設産業情報化推進センター(C-CADEC)が開発した国内用の「CI-NETコード」と、グローバルを視野にISO 12006-2に基づき、英国NBS BIMライブラリーに使用されている「Uniclass」を用い、米国で主に使用されている建物のライフサイクルにわたる要素の分類体系「OmniClass」への対応も考慮している。
また、対象品目もBLCJ標準Ver.1.0から拡大し、太陽光発電装置や建築確認に必要なダンパーなどの設備機器を加えている。
Ver.2.0の整備で、用語などを共通化することで、設計・施工・製造の建築生産プロセスでの情報伝達をより正確に、よりスピーディーに、またミスの削減により、生産性の向上につながり、BIMを中心とするデジタル化技術の開発も促進されることが期待される。
現状では延べ床面積1万平方メートル以下の事務所や庁舎で、そこに通常使用される部材、製品、機器を対象としている。将来は、1万平方メートル以上の規模や集合住宅など、戸建て住宅以外の建物用途まで拡大する計画としている。
今回の公開と同時に、BLCJ標準Ver.2.0を実装した試験用BIMライブラリサイトのデモ動画もYouTubeで放映している。
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