ガラス手すりと一体化した新たな太陽光発電システム、バルコニーに取り付け可能:導入事例
大成建設は、カネカとともに、戸建て住宅やマンションのバルコニーに取り付けられる太陽光発電システム「バルコニー用 T-Green Multi Solar」を開発した。今後、両社は、戸建て住宅やマンションだけでなく、病院、ホテル、商業施設などに対しても、新システムを訴求し、建物のZEH化とZEB化に貢献する。
大成建設は、カネカとともに2019年に共同開発した太陽光発電システム「T-Green Multi Solar(ティーグリーンマルチソーラー)」をガラス製の手すりと一体化させて、戸建て住宅やマンションのバルコニーにも取り付けられるように仕上げた「バルコニー用 T-Green Multi Solar」を開発したことを2022年10月11日に発表した。
高効率な発電を30年以上持続可能
東京都は、「2030年カーボンハーフ」の実現に向けた条例制度改正の基本方針を2022年9月に公表し、戸建て住宅やマンションを含む新築建物に「太陽光発電など再エネ設備」の整備を義務付けた。これにより、都内のマンションなどで、太陽光発電システムの設置が急速に普及することが予想されている。
一方、国内では近年、自然災害などの影響で、高層マンションの停電被害が報告されており、停電時でも共用部の照明や携帯電話の充電を確保する対策が必要となっている。加えて、高層マンションでは、屋上に多様な設備や機械などを配置しなければならず、太陽光パネルを設置するスペースが限られ、発電量にも限界がある。
そこで、大成建設は、カネカとともに、建物の高さを最大限に使える壁面を利用するバルコニー用 T-Green Multi Solarを開発した。
バルコニー用 T-Green Multi Solarは、一般的なバルコニーのガラス手すりと同等以上の耐久性と強度を持ち、取り付け作業もバルコニー内部から容易に行える他、高効率な発電を30年以上持続する。
さらに、災害により、建物内で停電が発生した時には、独立した非常用電源として機能するだけでなく、蓄電池と組み合わせることで、共用部の照明や携帯電話の電力としても利用でき、安全で快適な生活環境の継続に役立つ。
また、透過性がない「ソリッドタイプ」と透過性を確保した「シースルータイプ」といったT-Green Multi Solarの従来ラインアップだけでなく、「ハーフタイプ」も用意しており、さまざまな顧客ののニーズに対応できる。
なお、ソリッドタイプはバルコニー外部からの視線を遮りプライバシーを確保するタイプで、シースルータイプは明るさを取り込める縞状の太陽電池を完備し透過性を備えたタイプとなっており、ハーフタイプは、バルコニー下方から視線を遮断するとともに室内からの眺望を実現した、ソリッドタイプを半分にしたタイプ。
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