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CCUS連携で1現場あたり月間10時間を削減 MCデータブラスの「建設サイト・シリーズ」:第8回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)
建設業で時間外労働の上限規制が2024年4月1日にスタートすることに伴い、現状では紙ベースのために長時間作業の温床となっている勤怠や就業履歴の管理を、どう効率化するかが問われている。
グリーンサイトと建設キャリアアップシステムのデータ連携
グリーンサイトは、日本に約330万人いる建設作業員のうち、約180万人のデータを蓄積するデータ基盤にもなっている。膨大なデータは、グリーンサイトのサービスが約20年前に提供を開始して以降、今に至るまでの歴史の中で積み重なった。
建設サイト・シリーズのオプション(プライムサービス)となるワークサイトは、巡視結果や指摘事項、揚重機の使用予定などを共有する施工管理や調達業務向けのサービスで、グリーンサイトに入力済みの現場や作業員のデータと自動連携する。いつでもどこからでも、PC、スマートフォンから作業内容を入力や確認可能で、現場を巡視中に危険箇所を発見したら写真も含め、指摘事項を記入して共有し、紙の書類を手渡しする移動時間の削減につながる。
また、グリーンサイトは別途プライムサービスの契約で、建設業振興基金が運営するCCUSと連携する。グリーンサイトの通門管理機能では、現場作業員の入退場履歴を記録して、そのままCCUSに送信するため、就業履歴の登録や情報更新の煩雑さが解消される。
今回の展示ブースでは、導入効果として、1現場あたり月間10時間を超える業務時間を削減するとアピールしていた。
また、ワークサイトとも連携し、CCUSには現場情報や施工体制情報、就業履歴などの登録が必要となるため、ワークサイトから自動で送信できれば、そうした情報の登録も手入力せずに済む。
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