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H&Companyが建設業の離職理由と給与動向を調査「中小企業の給与水準向上が離職を食い止める糸口に」調査レポート

H&Companyは、建設技術者の離職理由と給与動向について分析し、レポートにまとめた。その結果、建設業の離職理由として「収入が少ない」が最多となったが、平均年収は、他産業と比較して約70万円高い一方で、大手企業と中小企業の年収格差が大きいと分かった。

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 電気設備業界専門の求人サイト「工事士.com」を運営するH&Companyは、厚生労働省の「雇用動向調査(2021年分)」と「賃金構造基本統計調査(2021年分)」をもとに、建設技術者/建設技能者の離職理由と給与動向について最新情報を分析し、2022年10月27日にレポートとして公開した。

建設業の離職理由は、「収入が少ない」が首位

 レポートによると、雇用動向調査をベースにした全産業の離職理由としては、「労働条件が悪い」「職場の人間関係」が13.2%で同率1位。「収入が少ない」が10.6%で第3位となった。

 一方、建設業の離職理由は、「収入が少ない」が16.0%で首位。次いで「会社の将来が不安」が13.1%、「職場の人間関係」が11.4%の結果となった。

 建設業では、スキルや経験が重宝されるため、経験を重ねるまでは給料が低い傾向にある。専門的な資格の取得や勤続年数を重ねることで徐々に給料は上がっていくが、早い段階での収入アップを目的に離職する人材も多いことが予想される。


全産業と建設業における離職理由の比較 出典:H&Companyプレスリリース

建設業の全規模平均年収は528.3万円で、全産業よりも70万円高い

 賃金構造基本統計調査の分析結果で、企業規模別にみた全産業と建設業の平均年収比較では、全産業の全規模平均年収が452.2万円だったのに対し、建設業の全規模平均年収は528.3万円となり、約70万円も高く、建設業の賃金が決して低いわけではないことが判明した。

 その一方で、全産業では、企業規模による平均年収の格差が約150万円だったが、同じ建設業というくくりでも平均年収に250万円以上もの開きがみられた。

 H&Companyでは、建設業界では大手企業と中小企業との給与格差が大きく、中小規模企業の給与水準を引き上げることが、業界内での課題の1つと推察。そのため、中小企業でも、施工能力に応じて適切な処遇を受けられる仕組みを作ることが重要と指摘する。


全産業と建設業における企業規模別平均年収の比較 出典:H&Companyプレスリリース

能力や経験に応じた処遇を受けられる環境の整備が重要

 H&Companyはレポートのまとめとして、建設業の離職理由は「収入が少ない」が16.0%で最も多かったが、平均年収を調査したところ、他産業と比較しても建設業の平均年収が決して低いわけではないことが分かったとしている。

 しかし、企業規模別の平均年収でみると、建設業においては大手企業と中小企業の給与格差が約250万円となり、全産業の平均以上に大きい実態が明らかになったとする。

 そのため、建設業における中小規模企業の給与水準向上が、業界内の大きな課題の1つとし、課題解決には、建設技術者/建設技能者が能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備していくことが重要だと提言。その一例で、国土交通省が推進する「建設キャリアアップシステム」を挙げ、技能や経験の客観的データを蓄積できるため、適切な評価や処遇、ひいては適正な請負単価にむすびつくことが期待できると提言。

 さらに、「こうした仕組みの活用で、企業規模の枠にとらわれず、能力に応じて適切に処遇される建設業界にしていくことで、業界内の離職を食い止める糸口になるのではないか」とコメントしている。

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