【建設サイトReport】飛島建設が全現場で導入、CCUSと連携した多機能プラットフォーム「e-Stand」:「建設サイト・シリーズ」ユーザーミーティング2022(4)(1/2 ページ)
飛島建設は、建設現場の生産性向上に向け、安全教育などと電子商取引の機能を併せ持つ、独自の共創プラットフォーム「e-Stand」を開発した。e-Standと、顔認証の機能を備える建設キャリアアップシステムと連携させるなど機能拡充も図り、将来は自社だけでなく、他ゼネコンとの共創も目指している。
建設業界に特化したクラウドサービスプラットフォーム「建設サイト・シリーズ」で知られるMCデータプラスは、ユーザーミーティングを2022年2月にYouTubeのライブ配信で開催した。
建設サイト・シリーズの導入企業4例目で紹介されたのは、独自に開発したモバイル端末用の多機能アプリ「e-Stand(イースタンド)」と、MCデータプラスのグリーンファイルを作成するサービス「グリーンサイト」をベースにした「建設現場顔認証 for グリーンサイト」と連携させて、全現場での導入を目指す飛島建設。
飛島建設のワークサイト導入背景と選定理由
飛島建設は、特にトンネルやダムなど土木分野の工事を得意とする準大手クラスのゼネコンとして知られるが、2019年には2023年度までの中期5カ年計画で建設DXの方針を打ち出した。なかでも、特に注力しているのがIoTプラットフォーム事業であり、そこには5カ年計画で取り組む、さまざまな新規事業の屋台骨と見なしている。
講演では、飛島建設 企画本部 新事業統括部 課長 科部元浩氏がDXに向けた施策の一環で、MCデータプラスのグリーンサイトを活用しながら、建設キャリアアップシステム(CCUS)の全社導入を図るという独自の取り組みを紹介した。
まず、科部氏が取り上げたのは、CCUS導入にあたり、直面した4つの課題である。CCUSでは、各技能者本人が現場にどの職種や立場でどれだけの期間働いたかといった日々の就業履歴を記録することが大前提となる。そのため、各現場で「入退管理をどう行うか」が重要となる。
4つの課題とは、1が「複数ある入退管理システムのデバイス候補でどれがベストか?」、2は「手間が増える。ハードやWi-Fiの管理も大変」。3は「忙しい現場は対応しきれない。現場への説明にも時間がかかる」。4の「(それだけやっても)CCUSの普及はなかなか進まない。そもそもCCUSのカードを持つ職人が少ない」。こうした課題を検討した上で、飛島建設がたどり着いたITツールが、NECの提供する顔認証×GPSの技術を用いた「建設現場顔認証 for グリーンサイト」だったのである。
入隊管理システムそのものは、カードやQRを使うタイプから顔認証まで、数多くあったが、飛島建設はその全てを試して比較した上で、最終的に「建設現場顔認証forグリーンサイト」を選定し、約2年半前から本格的な導入を開始した。
科部氏によれば、位置情報も含めたデータ入力や職人の管理の手間を考えると、GPSの位置情報を備えたこのシステムが最も現場の手間がかからないと話す。カードやQRはリーダーやタブレットが必要となるが、顔認証ならば「本人が現場に来るだけで済む」というわけだ。
さらに、職員または職人自身のスマートフォンやタブレットでも認証できる利点がある。コスト面でも、顔認証 for グリーンサイトは、使った分だけの課金システムなので安価で、小規模の現場でも容易にCCUSを採り入れられる。
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