海や水面に浮かべた“床”が自動着岸する「海床ロボット」 大阪・関西万博で実用化目指す:プロジェクト
竹中工務店を代表とする「海床ロボットコンソーシアム」は、海や水面に“床”を浮かべ、自動で動いて離着岸する「海床ロボット」を開発し、大阪城公園の東外堀で実証実験を行った。海床ロボットは、大阪・関西万博の会場予定地である夢洲での社会実装を目標に掲げる。
竹中工務店を代表法人とする「海床ロボットコンソーシアム」は、都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の実証実験を2023年12月6〜7日、大阪府大阪市中央区の大阪城公園の東外堀で実施した。
製品化に向け、制御盤やバッテリーを一体型で製作
海床ロボットコンソーシアムは、竹中工務店、東京海洋大学 海洋工学部 清水研究室、IHI、炎重工、水辺総研、新木場海床プロジェクト、ウォーター・スマート・レジリエンス研究協会、あいおいニッセイ同和損害保険から成る共同プロジェクト。
近年、大都市臨海部は都市過密化で、交通、物流、環境、防災などの課題が複雑に絡み合っている。こうした課題に対し、海床ロボットコンソーシアムは、都市部の低未利用化した水域の活用が重要な糸口になるとみなし、都市型自動運転船の海床ロボットが都市内水域を動き、さまざまな都市課題を解決し、水辺を変革していく未来を描いている。
海床ロボットは、海床ロボットコンソーシアムが開発する純国産制御システムを搭載し、海や運河、河川、湖沼などの水面に浮かべた3メートル四方の床が自動で動き、離着岸する自動運転船。無人運転で全方向に自立走行可能で、船舶免許のいらない大きさ、臨海部や池などの静水面に適応し、スピードは2馬力による毎秒約2メートルで、静水面の船上荷重は500キロといった特徴を備える。自ら着岸して自動充電するため、各地点を結ぶ都市交通を担う定期船をはじめ、レストラン船、渡し舟船、防災船、ごみ回収船などの用途が想定されている。
実証実験では、2021年と2022年に大阪城公園の東外堀で行った実証実験に続き、今回で3回目。これまでの試験機をもとに、製品化に向け、使い勝手や対候性、防水性能を考慮し、浮体構造の中に電気設備を含めた制御盤やバッテリーを一体型にしてデジタルファブリケーション技術で製作し、大阪水上安全協会が航行。海床ロボットが社会実装されることを想定した安全性や操作性の検証に加え、航行にあたってのリスクも視野に入れた保険制度も検討した。
海床ロボットコンソーシアムでは、これまでの実証で得た結果をもとに、海床ロボットを水辺で利活用し、観光事業や都市サービスとして活用できるように改良していく。また、2025年大阪・関西万博会期中に、会場内外でプログラムも計画しており、万博を契機に海床ロボットの社会実装を目標に見据える。
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