3Dプリンタで高さ1.4mの土壁を出力 建設残土の循環をコンセプトに建築家・浜田晶則氏とLib Workが制作:3Dプリンティング
建築家・浜田晶則氏は、注文住宅メーカーLib Workの協力を受け、3Dプリンタで高さ1.4メートルの土壁を出力することに成功した。
注文住宅メーカーLib Work(リブワーク)は、Aki Hamada Architects(浜田晶則建築設計事務所)に3Dプリンティング技術を提供し、建築作品「土の群島」の完成に協力した。
土の群島は、高さ1.4メートルの3Dプリンティングで出力した土壁。「デザインを五感で楽しむ」をテーマに、2007年から開催しているデザインの祭典「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」(会期:2023年10月6〜29日)で、東京ミッドタウン内の芝生広場に展示した。
伊豆高原の分譲型ホテルレジデンス「TIMELESS COURT IZU(タイムレスコート イズ)」や大阪・関西万博のトイレ施設を手掛ける建築家・浜田晶則氏によれば、土の群島のコンセプトは、次世代の建築工法で作る土のオブジェを通して、自然との対話をいざなう循環型インスタレーション。
建築や土木の建設のプロセスで、大量の残土が発生していることに着目し、廃棄物として捨てられる土をテクノロジーで生まれ変わらせ、積極的に利用していく未来へのプロジェクトの第一歩と位置付ける。
廃棄物として捨てられてしまう土を活用して、自然素材の硬化剤を混ぜ合わせることで、建材としての材料強度をもたせた。制作にあたっては、3Dプリンタなどのさまざまな構法で素材を使い、環境への配慮と高い造形力の両立を示した。最終的に、土でできた建築物は役割を終えた後、再び大地へと還る。
浜田氏や制作陣は、「幼い頃に砂場で城や山をつくって遊んだように、自由に造形された群島に触れ、身を預け、長い年月を経た土の時間と、私たちが立つ大地の下の世界について、共に想像してほしい」とコメントする。
土の群島のプロジェクトには、Lib Work、TSP太陽、早稲田大学 輿石直幸研究室、日本ストローベイルハウス研究会、大橋左官、VOID、ExtraBold、Hodge、構造計画研究所が参画している。
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