大和ハウス、ZEB設計ツールを開発 BEI計算時間を大幅短縮:ZEB
大和ハウス工業は、短時間で最適なZEB提案を可能にする2種類の設計ツールを開発し、本格運用を開始した。省エネ性能の計算時間を大幅に短縮し、設計初期段階や設計変更時のZEB化の検討にも迅速に対応する。
大和ハウス工業は2023年12月26日、オフィスビルや工場のZEB化推進に向けて、短時間で最適なZEB提案ができる2種類の設計ツールを開発し、本格運用を開始した。初期設計、詳細設計段階における省エネ計算のリードタイムを99%以上削減するという。
平面図のみでのZEB提案が可能、BIM連携で設計変更にも迅速対応
今回大和ハウス工業が開発したのは、初期設計段階で利用するZEB設計支援ツール「D-ZEB Program」と、詳細設計段階で利用する「BIM連携ZEB設計ツール」だ。
D-ZEB Programは、設備や断熱性能など建物の仕様が確定していない平面図の段階でのZEB提案を可能にする。室名や床面積などの情報を入力し、断熱/設備の性能を選択するだけで、ZEB認証に必要な省エネ性能の計算指標「BEI(Building Energy Index)」を算出できる。
これまで数週間かかっていたBEI計算が、室数が少ないプランであれば10分以内、延べ床面積2000平方メートル程度の事務所プランであっても1時間以内で行える。
BIM連携ZEB設計ツールは、BIMによる3Dモデルができ上がった詳細設計段階で使用する。BIMの属性情報(部材ごとの品番、寸法など)を活用し、計算プログラムへの自動入力や自動チェックを実施することで、従来数週間要していたBEI算出を数分で完了できる。このため設計変更時のZEB化の検討にも迅速に対応する。
建築物省エネ法改正などでZEB化が加速へ
2024年度から建築物省エネ法が改正され、延べ床面積2000平方メートル以上の大規模非住宅建築物の省エネ基準が引き上げられる。2030年度には延べ床面積300平方メートル以上の中・大規模建築物にZEBレベルの省エネ基準が義務付けられる見込みだ。
これまでBEI算出には、床面積・外壁面積・窓面積・設備機器などの詳細情報を部屋ごとに入力する作業が求められ、数週間を要していたという。ZEB化推進の動きが加速する中、大和ハウス工業では、設計段階の川上から川下までスピーディーかつ質の高い提案を行うため、両ツールを開発した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第8回 JAPAN BUILD TOKYO:AR技術でZEBの効果を可視化する「建築模型AR」を東急建設が開発
東急建設とARスタートアップのOnePlanetは、建築模型とAR技術を組み合わせてZEBの内部構造や全体像を可視化する「建築模型AR」を初公開した。 - 第8回 JAPAN BUILD TOKYO:建築時のCO2排出量を可視化し削減へ 建物の脱炭素化を住友林業が支援
住友林業は、建築時のCO2排出量(エンボディード・カーボン)を効率的に可視化するクラウド型のLCAソフトウェア「One Click LCA」を展開し、建設セクターの脱炭素へ向けた提案を推進する。 - ZEB:最も厳しい“景観条例”の京都市で実現、外皮を変えない既存建物のZEB化
京都市は、民間企業の技術を活用した公民連携の課題解決推進事業「KYOTO CITY OPEN LABO」を展開している。その一環で、パナソニック エレクトリックワークス社は、市と連携して、既存建物をZEB化するプロジェクトに乗り出した。 - ZEB:積水ハウス、ZEB化した「豊橋支店」にCO2排出ゼロの商用車を導入
積水ハウスは、業務用車両の電動化を推進の一環として、ZEBオフィスの豊橋支店にEV向けクラウド型充電制御サービス「EV オートチャージ」を導入した。 - ロジスティクス:鹿島建設が物流施設開発に参入 初弾は東京と宮城で着工
鹿島建設は、物流施設の開発に乗り出した。開発から設計、施工までを一貫して手掛ける東京と宮城の2物件を皮切りに、物流施設のブランド「KALOC」を展開していく。 - ジェネレーティブデザイン:清水建設が“AIでZEB設計を代替” ZEB検討業務を100倍効率化で2024年問題に対応
清水建設は、ZEBの設計業務にAIを採り入れた「ZEB SEEKER」を開発した。従来は検討業務に1カ月以上要していたが、ZEB設計案の自動生成により、100倍以上も効率化が図れるという。