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清水建設が“AIでZEB設計を代替” ZEB検討業務を100倍効率化で2024年問題に対応ジェネレーティブデザイン

清水建設は、ZEBの設計業務にAIを採り入れた「ZEB SEEKER」を開発した。従来は検討業務に1カ月以上要していたが、ZEB設計案の自動生成により、100倍以上も効率化が図れるという。

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 清水建設は、2023年4月の改正労働基準法の適用に備え、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の設計業務にAIを順次導入し、設計業務の効率化と高度化という背反する課題の解決を図る。

 AIそのものは、独自に開発した「ZEB SEEKER」で、顧客が脱炭素の方針や事業計画を決める計画の初期段階から、顧客ニーズにマッチしたZEBの提案が可能となる。

AIでZEBの検討業務が100倍以上効率化

 ZEBの検討には、建築、設備を含めて建物を丸ごと設計する必要があるため、高度なノウハウとともに莫大なマンパワーを要する。このため、プランが頻繁に変更する計画の初期段階でのZEB検討は敬遠されがち。

 また、ZEBへの寄与度は「建築2割、設備8割」とされ、設備の仕様検討が複雑で手間がかかることがZEB提案のネックになる一方で、カーボンニュートラルに向けたZEB提案が求められる案件が増え、設計者の業務量が増加している。こうした課題を一挙に解決するべく清水建設が開発したのがAIベースのZEB SEEKERとなる。

 開発にあたっては、建物のエネルギー性能に関わる設計プロセス、特に高度なノウハウが求められる各種設備機器の能力の決定プロセスをZEB SEEKERに学習させた。その結果、ZEB SEEKERで、設計者に大きな負荷がかかる設備機器の能力設計、建物の省エネルギー性能の評価の自動化が可能になった。

 ZEB SEEKERで、必要な入力情報は、建物の簡易3Dデータ、可変要素とする窓ガラスの種類や断熱性能などの建築仕様、空調方式や熱源種別、照明、換気、給湯、昇降機、創エネなどの設備仕様、建築や設備の仕様に対する建築コストやランニングコスト、使い勝手などの顧客ニーズ、目標とする省エネルギー率。

 ZEB SEEKERはこうした情報をもとに、50項目以上に及ぶ建築や設備の仕様について最適化を図り、1日のうちに数億通り以上にも及ぶ組み合せの中から、顧客ニーズに適したZEB提案を複数案に絞り込む。

「ZEB SEEKER」の概念図。国土技術政策総合研究所 宮田征門氏のPython版WEBプログラムで建物のエネルギー性能を評価
「ZEB SEEKER」の概念図。国土技術政策総合研究所 宮田征門氏のPython版WEBプログラムで建物のエネルギー性能を評価 出典:清水建設プレスリリース

 これまで設計者によるZEB化の検討には1カ月以上を要していたのに比べ、検討業務が100倍以上も効率化し、提案内容も飛躍的に高度化する。例えば、約150床の大型病院に対するZEB Ready提案では、3日間でメンテナンス重視案、ランニングコスト重視案、快適性重視案といった異なる顧客ニーズに対応した3タイプを提案したという。

 清水建設は今後、ZEB SEEKERの社内展開により、設計者の業務を効率化し“2024年問題”への対応を先取りするとともに、ZEBという究極の省エネルギー提案の高度化により、顧客満足の一層の向上を図っていく。

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