奥村組、8階建て社員寮を「木造ハイブリッド構造」で建設:施工
奥村組は、埼玉県川口市に新設する自社社員寮「奥村組西川口寮」に、木造とRC造の混構造である「木造ハイブリッド構造」を採用する。
奥村組は2023年12月5日、埼玉県川口市に新設する地上8階建ての自社社員寮「奥村組西川口寮」に、木造とRC造の混構造である「木造ハイブリッド構造」を採用すると発表した。
木材利用による炭素貯蔵量は約170トン
計画では、建物全体で246立法メートルの木材を使用し、木材利用による炭素貯蔵量(CO2固定量)は約170トンを見込んでいる。工期は2023年11月〜2025年3月。
社員寮の建設地は荒川洪水ハザードマップの浸水想定区域に位置するため、建物の1〜2階をRC造、3〜8階部分を木造(一部RC造)で建設する。
スラブなどをRC造とすることで、床の遮音性を確保するとともに、風揺れ対策を行う。また、1〜2階間に免震層を設けて中間階免震構造とし、地震が発生した際の木造躯体の負担する水平力を軽減する。
敷地面積は854平方メートルに対し、建築面積は370.29平方メートルで、延べ床面積は1809.18平方メートル。部屋数は60室。設計・施工は奥村組が手掛ける。木造部構造設計でシェルター、技術設計で腰越耕太建築設計事務所がそれぞれ協力している。
柱と梁に木質耐火部材「SHIELD WOOD」を使用
木造フロアの柱と梁(はり)には、木質耐火部材「SHIELD WOOD(シールドウッド)」を採用する。木材の荷重支持部材を石膏(せっこう)ボードで覆い、表面を木材で仕上げた「燃え止まり型」の耐火部材で、木質構造部材の設計や製造を行うシェルターとOEM契約を締結し、奥村組の木質耐火部材として供給する。
寮の室内にも、戸境壁にCLT材(直交集成板)の耐震壁を使用、天井部を杉板による木現し仕上げとするなど、木質材を多く用いた。
なお、奥村組西川口寮は国土交通省の「令和5(2023)年度優良木造建築物等整備推進事業」に採択された。同事業は、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層建築物について、優良なプロジェクトを実施する民間事業者等に対して支援を行う制度。
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