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1000m2のコンクリ散水養生の乾湿状況を30分で判定するロボット 奥村組がユアサ商事と2024年度に一般販売:ロボット
奥村組は、ユアサ商事と共同で、コンクリート打設後の散水養生で、乾湿状況を自動で認識するロボットを開発した。
奥村組は、ユアサ商事と共同で、コンクリートの散水養生で乾湿状況を自動で認識するロボットを開発し、実用化に向けた実証実験を行ったと2023年4月24日に発表した。
1000m2の床コンクリート表面を30分程度で自動認識
コンクリート打設後の散水養生は、コンクリートの強度や仕上がりを左右するため、乾湿状況の管理が非常に重要となる。しかし、適切な湿潤状態を維持するには目視による常時確認が必要で、労力がかかるうえ、養生期間に湿潤状態が維持されていることを定量的に自動記録する技術の開発も進んでいなかった。そこで、奥村組とユアサ商事は、効率的な湿潤養生管理を実現する技術開発を着手するに至った。
コンクリート散水養生自動認識ロボットは、桐生電子開発と共同開発した特許出願中の光学センサーを搭載し、コンクリート表面の乾湿状況を定量評価して自動認識することで、コンクリート打設後の湿潤養生管理を適切に行いつつ、点検や記録作業の省人化につながる。
奥村組で行った実証実験の結果、コンクリート表面の乾湿状況を定量的に「乾燥」「半乾燥」「湿潤状態」の3段階で判定。ロボットの自律走行により、1000平方メートル規模の床コンクリート表面の乾湿状況を30分程度で自動認識した。なお、コンクリート表面の乾湿状況は、カラーマップ上に表示して可視化した。
今後、両社は、建設現場に即した操作性や耐久性の向上、自動散水設備との連携、ロボットの小型化などの改良を進め、2024年度からユアサ商事による一般販売を目指す。
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