竹中工務店の木材を用いたCFT柱/鉄骨梁の耐火被覆技術、2時間耐火の認定取得:施工
竹中工務店は、一般流通木材を用いたCFT柱の耐火被覆技術と、鉄骨梁の耐火被覆技術の「KiPLUS」シリーズ2種類を開発した。両技術ともに、2時間耐火の認定を取得している。
竹中工務店は、一般流通木材を用いたCFT柱の耐火被覆技術「KiPLUS TAIKA for CFT」(特許出願済)を開発した。鉄骨梁(ばり)の耐火被覆技術「KiPLUS TAIKA for BEAM」も日鉄エンジニアリングと共同開発し、ともに「国土交通大臣認定 耐火構造部材(2時間耐火)」を取得した。
建物の耐火性能を確保しつつ、豊かな木現し空間が実現
現行の建築基準法では、建物の最上層から4層までの範囲は1時間耐火性能で、14層までの範囲は2時間耐火性能が求められる。そのため、CFT柱や鉄骨梁には耐火被覆部材の付加が必要で、一般的には無機系の材料が使用される。
KiPLUS TAIKAは、耐火被覆材として一般流通木材を使用し、火災時には巻き付けた木材が炭化を伴いながらゆっくり燃え、CFT柱や鉄骨梁への熱の侵入を抑制するので、木現(あらわ)しの空間が実現する。一般流通木材は入手しやすく、多くの工場で生産が可能で、強度が低く構造材に適さない木材も含め、原木を無駄なく活用できる利点がある。
竹中工務店では、木による付加価値向上技術として、KiPLUS WALLに続く第2弾で、従来のRC造やS造の架構システムの一部に木を現しで使用しながら、遮音や耐震性能などの一部を補完する設計技術体系のKiPLUSシリーズを展開してきた。
KiPLUS TAIKA for CFTは、荷重支持部となるCFT柱の周囲にアングル/鋼板などを用いて一般流通木材を取り付け、木材と鉄骨の間の空気層が断熱性能を向上させる断面構成。KiPLUS TAIKA for BEAMは、鉄骨梁の周囲に石こうボードと一般流通木材を取り付け、梁に設備配管用の貫通孔を設けられる。
耐火構造部材の大臣認定は、公的試験所で性能評価試験に合格することで取得する。耐火試験炉内で試験体を2時間加熱、試験炉内は約1050度まで上昇し、加熱終了後は、加熱時間の3倍以上炉内で放冷し、柱は鋼材の平均温度が350度かつ最高温度が450度を超えないこと、梁は載荷により、最大たわみ量およに最大たわみ速度が一定の値以下となることが合格条件となっている。
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