木質構造物の高層化という挑戦 Vol.3 アキュラホームの純木造5階建て住宅:木の未来と可能性 ―素材・構法の発展と文化―(10)(1/2 ページ)
本連載では、一級建築士事務所 鍋野友哉アトリエ/TMYAを主宰する一級建築士の鍋野友哉氏が、近年環境に優しいなどの理由で関心を集める木材にスポットライトを当て、国内と世界における木造建築の歴史や最新の木造建築事例、木材を用いた構法などを紹介する。最終回となる今回は、神奈川県川崎市にある川崎住宅展示場で、2022年10月に竣工したアキュラホームの純木造軸組5階建て住宅について採り上げる。
本連載では、これまで木質化・高層化について、さまざまな事例を通してその取り組みを紹介してきました。今回は、筆者が設計・監理を担当した木造の中高層プロジェクトであるアキュラホームの純木造軸組5階建て住宅を採り上げます。
1階は木造軸組による2時間耐火構造を実現
アキュラホームの純木造軸組5階建て住宅は、神奈川県川崎市にある川崎住宅展示場(神奈川県川崎市川崎区日進町22-7)にモデルハウスとして建設され、2022年10月に竣工しました。モデルハウスとしては日本初となる木造軸組5階建ての建築です。
なお、防火地域内にある木造5階建ての建物で、1階に2時間耐火性能、2〜5階には1時間耐火性能が求められましたが、それを軸組工法で実現した純木質構造建築物です。
用途は、都市木造を想定しており、1階は店舗で、2階は事務所、3階は賃貸住宅、4〜5階はメゾネットタイプのオーナー住居としています。建物の最高高さは17メートルで、地上5階建てとなっており、延べ床面積は431平方メートルの耐火木造建築物です。
耐火性能に関して、当該物件は、前回採り上げた大林組の高層純木造建築物「Port Plus」と同じく、地上4階建てを超える木造建築物で、上から数えて5階以下の階、つまり1階には2時間の耐火性能を要求されました。そこで、筆者は、石こうボード被覆による2時間耐火の柱を採用しました。
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