長谷工コーポレーションが長谷工テクニカルセンター内の技術研究所に「音響実験棟」を建設:施工
長谷工コーポレーションは、東京都多摩市に所在する長谷工テクニカルセンター内の技術研究所に、遮音性能検証に特化した「音響実験棟」を建設した。建物の基礎や構造、室内外の環境などに関する性能実験を多面的視点から行うという。
長谷工コーポレーションは2023年1月13日、長谷工グループの研究・技術開発拠点で、東京都多摩市に所在する長谷工テクニカルセンター内の技術研究所に、「音響実験棟」を建設し完成したと発表した。長谷工コーポレーションでの遮音性能検証に特化した実験施設は初となる。
実験棟はJIS A1416:2000に準じたA室とB室の残響室で構成。S造1階建てで、建物面積は175.29平方メートル。
木造建築の“遮音性能”に対する実証施設
長谷工グループでは中期経営計画のもと、分譲マンション建設で長年培ってきた技術力と豊富な実績を生かし、脱炭素に向けたマンションの木造化や木質化、ホテル、オフィスビル、物流施設などの新たな建設分野に挑戦し、建設関連事業の領域拡大に取り組んでいる。
新設した音響実験棟は、木造建築の課題となっている遮音性能に対して効率的な実証を行いつつ、あらゆる構造種別の建物の遮音性能検証や研究技術開発の強化を行う。
施設内にはJIS規格に準じた2つの残響室を備え、床、内壁、外壁などの建築部材の遮音性能の実験を実施できる。長谷工テクニカルセンター内にある既存の住宅実験棟や多目的実験棟と合わせ、建物の基礎や構造、室内外の環境や設備などに関する性能実験を多面的な視点からテストする。具体的な実験内容は、壁部材や換気設備などを対象とした音響透過損失測定や床仕上げ材を対象とした床衝撃音レベル低減量測定を想定している。
また建物構造には、長谷工コーポレーションが独自に開発したコンクリート材料由来の温室効果ガス排出量を約20%削減する効果がある環境配慮型コンクリート「H-BAコンクリート」やひき板を繊維方向が層ごとに直角に交わるように貼り合わせた大判の「CLTパネル」など、環境負荷の少ない材料を採用した。
なお、実験は壁部材や換気設備などを対象とした音響透過損失測定や、床仕上げ材を対象とした床衝撃音レベル低減量測定などが行われる予定だ。
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