隈研吾氏設計の炭素繊維素材で建物を覆う耐震補強 小松マテーレ「fa-bo」が見学会を再開:リノベ
隈研吾氏がリノベーションを手掛けた小松マテーレのファブリック・ラボラトリー「fa-bo」が見学会と体験会を再開した。
1943年に創業し、染色を基盤とした繊維加工事業を中心に、多彩な領域をカバーする化学素材メーカーの小松マテーレは、歴史や最先端の技術を体感することができる石川県能美市の小松マテーレ本社工場内にある企業ミュージアム「fa-bo(ファーボ)」の見学と体験を2023年10月12日に再開した。
炭素繊維素材を用いた世界初の耐震補強
fa-boは、1968年に建設された旧本社棟を、2015年に建築家の隈研吾氏が設計・リノベーションし、企業ミュージアムとして生まれ変わった。リノベでは、自社開発の熱可塑性炭素繊維複合材料「カボコーマ・ストランドロッド」を用いて世界で初めて耐震補強(外装CFロッドドレープと内装間仕切りブレース耐力壁)した。外観は、有機的で柔らかに張り巡らされたカボコーマ・ストランドロッドの持つファブリックのイメージを生かした特徴的なファサードを備える。
また、断熱性や遮音性にも優れる小松マテーレのエコ建材「グリーンビズ」を建物の外構や屋上庭園に採用し、緑豊かな環境を整備するとともに、機能性と建物の付加価値を高めている。
施設内では、世界的ファッションブランドにも採用された素材など約5万点の生地サンプルが並ぶアーカイブや繊維の歴史、製造工程などを紹介している。
▼コース内容
1.fa-bo見学+ワークショップコース(120分)
実施日:木曜日、金曜日、土曜日(年末年始、GW、お盆は休館)
時間:午前の部10:00〜12:00/午後の部14:00〜16:00
参加費:一般1000円(税込み)/小・中学生500円(税込み)/未就学児無料
2.fa-bo見学コース(60分)
実施日:木曜日、金曜日、土曜日(年末年始、GW、お盆は休館)
時間:午前の部11:00〜12:00/午後の部15:00〜16:00
参加費:一般500円(税込)/小・中学生500円(税込)/未就学児無料
▼コース内容詳細
【fa-bo見学】
《1》メインブース-創業80年間で蓄積したファブリックの資料館
- 1980年代から今日までの《小松マテーレ》ファブリックの魅力と歴史
- 約5万点にも及ぶ生地サンプルに触れられるアーカイブコーナー
《2》特別展示スペース-繊維産業と当社の歴史、さらなる挑戦を紹介
- 染色/後加工技術を紹介
- 世界の歴史と繊維産業の成り立ち、小松マテーレの歴史を時系列で解説した年表
- 小松マテーレが目指す持続可能な社会をイメージしたジオラマ模型
【ワークショップ】
《1》繊維を染める
- 眼鏡クリーナーや巾着、マスクなどをお好みの模様で優しい色合いに染め上げる。
《2》繊維を組み合わせる
- 端材を用いたカラフルなボールを詰め込んで、世界で1つだけのオリジナルクッションが作れる。
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