竹中工務店の「燃エンウッド」活用事例、約1515m2の燃エンウッドを導入する施設とは?:非住宅 木造建築フェア(1/3 ページ)
竹中工務店は、柱や梁など構造部材用の耐火集成材として開発した「燃エンウッド」の活用を推進しており、これまでに17件の物件で採用している。2022年10月には、同社が設計・施工を担当し、約1515平方メートの燃エンウッドを導入する公共施設が茨城県水戸市で竣工する見込みだ。
竹中工務店は、木造の設計・施工や修繕、管理に役立つソリューションが一堂に介する専門展「非住宅 木造建築フェア」(会期:2021年10月7〜8日、東京ビッグサイト青海展示棟)に出展した。
会場では、竹中工務店 木造・木質建築推進本部 技術グループ長 花井厚周氏が、竹中工務店が開発した耐火集成材「燃エンウッド」を導入した施設で、同社が設計・施工を手掛け、竣工した「新柏クリニック」「江東区有明西学園」「フラッツウッズ木場」「タクマビル新館(研修センター)」「プラウド神田駿河台」を説明した。加えて、開発中の「(仮称)銀座8丁目開発計画」「水戸市新市民会館等施設建築物」も紹介した。
大型商業施設「サウスウッド」の開発を機に燃エンウッドの活用を推進
燃エンウッドは、竹中工務店が柱や梁(はり)など構造部材用の耐火集成材として2007年に開発したもので、木製の「荷重支持部」やモルタルと木で構成された「燃え止まり層」、純木で作られた「燃え代層」から成り、荷重支持部を火災の熱から守る。燃エンウッドのラインアップは現在、国土交通省より、1時間耐火の認定を受けた「せっこう仕様」と「モルタル仕様」や2時間耐火の認定を得たせっこう仕様の3種類。
竹中工務店の花井氏は、「燃エンウッドは、2000年に建築基準法が改正され、主要構造部を“耐火構造”とすれば中大規模の木造を作れるようになったことなどを要因に開発された。しかし、開発成功後、一定の期間は、燃エンウッドの柱と梁を接続する技術が確立されていなかったため、大断面化が難しく、使用される機会はほとんどなかった」と話す。
続けて、「そして、2012年7月に神奈川県横浜市で着工した耐火木造の大型商業施設“サウスウッド”で燃エンウッドの採用が決定したことを機に、燃エンウッドの柱と梁を接続する技術が開発された。燃エンウッドの接続技術は、接合金具を柱と梁のモルタル部分である燃え止まり層の内側に埋め込むように配置することで、熱を金具に伝えないようにし、接合部の構造性能と耐火性能を確保することを達成した。接続技術の開発以降、燃エンウッドの導入が進んだ。なお、サウスウッドは2013年9月に竣工している」と振り返った。
新柏クリニックは、RC造・S造・木造を組み合わせたハイブリッド構造を採用した地上3階建ての人工透析クリニックで、千葉県柏地に位置する。燃エンウッドを約144平方メートル導入している。建物内では、連続した燃エンウッドの門型架構と木質仕上げの内外装で、木の柔らかさや香りにより、人工透析を受ける患者がリラックスしやすい環境を構築した。
江東区有明西学園は、RC造・SRC造・S造・木造を組み合わせたハイブリッド構造地上5階建てで、東京都江東区有明1丁目7-13に立地する。燃エンウッドを約414平方メートル利用している。施設の建設コンセプトとしては、「木のぬくもりを生かした学び舎づくり」「豊かな学習環境を創出する空間づくり」「災害に強く、人・環境にやさしい学校づくり」を掲げた。校舎の中央は、2〜5階に吹き抜けがあり、木造の柱や木質化された壁に包まれた空間となっている。
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