構造計画研究所が木製パネル耐震壁「CLT市松ブロック壁」を開発、子ども園に導入:産業動向
構造計画研究所は、業界で注目されている木質材料「CLT(Cross Laminated Timber、直交集成材)」を活用した木製パネル耐震壁「CLT市松ブロック壁」を開発した。CLT市松ブロック壁は、CLTの小判型パネルを市松状に配置し、接合金物と組み合わせることで、採光性、通風性、デザイン性を備える木製パネル耐震壁。今回の耐震壁を初めて適用した「平成学園ひまわり幼稚園」の新校舎開発計画「光・風・木と遊ぶプロジェクト」が2021年3月に竣工し、木の温かみを感じられる認定子ども園を実現した。
構造計画研究所は、現在注目されている木質材料である「CLT(Cross Laminated Timber、直交集成材)」を活用した木製パネル耐震壁「CLT市松ブロック壁」を開発し、特許を取得したことを2021年9月13日に発表した。
S造やRC造の耐震要素として活用する見通し
CLT市松ブロック壁は、市松状に配置したCLTパネルや鋼板、ドリフトピンで構成されており、建物の耐震壁として使える。さらに、小判型のCLTパネルを金物と組み合せることで、高耐力および靭性を持ち、ブレースの性能に優れる。今回の耐震壁では、力学的特性を解析により求め、要素試験および実大壁体試験により比較検証し、構造性能の評価を行った後、特許を取得した。
構造計画研究所では、平成学園が運営する認定子ども園「ひまわり幼稚園」の新校舎に、CLT市松ブロック壁を取り入れた木造建築物を導入。具体的には、意匠設計を隈研吾建築都市設計事務所が担い、構造設計を構造計画研究所が担当した。
新校舎の構造設計では、構造計画研究所が開発した「CLTパネル工法用の一貫構造計算システム」を新校舎用にカスタマイズしつつ、構造計算の効率化を図った。また、構造のBIMモデルを用いて、意匠との整合性や木部材と接合金物との納まりを確認し、施工者とのスムーズな連携を実現した。
今後、構造計画研究所では、CLT市松ブロック壁を利用することで、壁式構造であるCLTパネル工法の課題だった採光性と通風性の課題を解決するとともに、高いデザイン性と施工性のCLT建築物を実現する。加えて、CLTパネル工法だけでなく、S造やRC造の耐震要素として利用していく。
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